東日本大震災後8年を迎えて

2011年3月11日の東日本大震災は、死者・行方不明者約2万人及び建築物の全壊・半壊は合わせて約40万戸という大災害をもたらしました。当社は、Websiteに「東北地方太平洋地震復興支援特設サイト」を設け、復興に必要な技術情報等を20回余りにわたり発信して参りました。
 現在、道路網や鉄道網の復興は、ほとんど終了し、また、災害公営住宅の建設は間もなく100%になるなど、インフラ整備は大きく進んでいるようです。ただし、現地からの報告によれば、医療費の窓口負担の支援の中止及び障害者や遺児・孤児となった子供たちの支援に課題が残されているなど、人間復興面での課題があるようです。大きな課題は、被災地の復興が進むのとは対照的に、福島第1原発の事故を受けた帰還困難区域である大熊町、浪江町や双葉町の5万人の避難者の帰還の見通しやその復興の目途がたっていないことのように思います。
 復興上の課題の一つは、巨大防潮堤建設で、私達の測量事業と大きく関係しています。地震時太平洋岸は1m程度の大きな沈下が生じました。その後の余効変動でこの地域は隆起が始まり、住民は景観上、隆起分を考慮した低い防潮堤建設を望みました。そのことは、河北新報に詳しく報道されています。
 国土地理院は、東京の水準原点を出発点とした水準測量を実施し、平成29年に22cmの隆起量を定め、防潮堤建設の資料としました。当社が衛星測位による電子基準点の成果による隆起量を計算した結果、図に示すように、2018年1月1日で約30cmの隆起量になっていて、グラフからは引き続き隆起傾向が見られます。


図 国土地理院Websiteのセミ・ダイナミック補正から計算した一等水準点6772の隆起量
日本は地震列島と呼ばれ、2016年4月には熊本地震により多くの被害が発生しました。当社は、「平成28年熊本地震復興支援特設サイト」を設け、国土地理院などの発する技術情報の解説などを行い、復興支援を手助けして参りました。
 昨年11月に準天頂衛星の運用が開始されました。こうした新しい衛星測位により土地の隆起量が正確に求められれば、住民の景観上の要望が一層叶えられることになると思います。当社は、日々発展する新しい技術を活用し、引き続き国民の要望を前提にした仕事を続けていくことを皆様にお約束したいと思います。
2019年3月11日
アイサンテクノロジー株式会社

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