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サーベイヤーズ21講座

第14講

2010年7月28日

<<第14講>>水準測量の1km当たりの標準偏差
 
昭和63年測量士試験問題〔No.3〕問Aで、水準測量の往復差から、観測路線の1km当たりの標準偏差を求める出題がありました。この問題の日本測量協会の模範解答は次のようなものです。
いま、ある区間の水準測量を行って往観測から求めた高低差をh1、復観測から求めた高低差をh2とすれば、往復観測差μ は、μ =h1-h2で求まる。高低差の最確値をh0、往観測の残差をδ1、復観測の残差をδ2とすれば、
 
δ1=h0-h1=-μ /2
δ2=h0-h2=μ /2
 
 
である。最小二乗法によれば、単位重量1(1km)の1観測の標準偏差の公式は次式となる。 
 
14-01.png   (1)
 
 
ここで、n =2,p1 =p2 =1/Si、δ12 =δ22 =μ2 /4であるからこれを上式に代入すると、 
 
14-02.png   (2)
 
 
となる。この値が1区間(1鎖部)の単位重量1の1観測の標準偏差である。このような区間が連続して観測路線を構成しているから、各区間ごとの標準偏差をm1,m2,・・mnとすれば、観測路線の単位重量1の1観測の標準偏差m0は、次式となる。 
 
14-03.png   (3)
 
<Jordan,Eggert,Kneissl Handbuch der Vermessungskunde Band II, 1963, pp112-113>
 
 
表記文献によるn鎖部の観測路線から求める標準偏差は次のように説明されています。
往観測をhi 復観測をh’i (i=1,2,・・・n)とする。それぞれの観測値に対する誤差をεi 及びε’i とすれば、次式が成り立つ。 
 
   14-04.png  または、 14-05.png 
 
 
上の式を平方して総和をとりnで割ると次式が導かれる。 
 
 14-06.png 
 
 
ここで、14-07.png  は、n回の観測がそれぞれ独立で、正負の総和が「ゼロ」と仮定できる。
 
また、  14-08.pngとすることができるので、往復観測の較差(閉合差=μ)から
求める標準偏差は次式となる。 
 
 
14-09.png   (4)
 
 
上式は各鎖部とも単位距離(1km)の場合であるから、観測距離がSkmの場合を考えれば、模範解答の(3)式と同じになります。
 
疑問
 
以上のように両者とも結果は同じですが、前号で考察したように、往復差の母平均μがゼロと分かっているのですから、模範解答が示す平均値から標準偏差を求める方法が正解なのでしょうか?また、分散の平均値のような(3)式が成り立つのでしょうか?