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準天頂衛星「みちびき」

QZSR mode4

2011年6月29日

月曜日にSONY様、SPAC様と銀座、新宿での車載によるQZSR受信機+QZS Prove Toolでの技術試験を行いました。当日最新のQZSR試作機を受け取りmode4と呼ばれているGPS+QZS L1C/A+L1SAIFでの試験を行い、動作の確認ができております。
このmode4はQZSRβⅠ、βⅡの時はL1SAIFとQZS L1C/Aの受信機が別々であったため、設定は出来ても利用できなかったモードです。前回の調整会議の際に説明があったように、L1SAIFが利用できるときはGPS補強として、L1SAIFが利用不可能でQZS L1C/Aが利用できる場合はGPS補完として動作するものであり補完と補強が同時に利用できるものでは無い事をご理解ください。これは現在のL1SAIFにはQZSの情報が含まれてないため、補強と補完を同時に行うと正しい測位が出来なくなってしまうからです。
今回は「みちびき」が準天頂付近に入った20時過ぎからの技術実証であったため、2時間ほどの測位の間、GPS単独での測位になることなく、補強または補完の状態で計測できる事が出来ました。銀座地域では補強95.5%補完4.5%とL1SAIFの受信率は非常にたかかったのですが、高層ビルが建ち並ぶ新宿では補強は52%と下がってしまいました。しかし「みちびき」が天頂に近づくにつれ補強の率もあがる傾向も確認できています。車両での走行試験は測位環境が刻々と変わるめ、QZS Prove Toolの新機能である受信状況の劣化時警告メッセージ機能も十分に試験する事ができ、またさらなる改良点の確認もできました。
深夜のL1SAIF放送は今週の木曜日にも行われるという事ですので、今度は歩行での技術実証を行う予定です。

2011年6月22日9:00。ついに準天頂衛星初号機「みちびき」のアラートフラグが外されました。本日開催された第6回IS-QZSS MTは寺田PMのやや興奮気味の報告から始まりました。このことはJAXAが繰り返してきた技術実証で「みちびき」の測位信号がIS-QZSS仕様書を十分に満たした事を示します。

今回アラートフラグが外されたのはL1C/AとL2Cとの事ですが、この事は今日から他のGPSと同様に測位衛星の一つとして一般的に利用可能になったという事です。まだ対応する受信機は限られますが、多くのメーカーが開発に名乗りを挙げているとも聞いており、以外に早く準天頂衛星対応の受信機が出てくるのかもしれません。今までは、どうしても初号機は実用というより前段階の技術試験的なイメージが強かったのですが、今回の件でGPS同様実際に利用できる測位衛星のひとつになったわけです。今日は、日本の衛星測位システムが大きく前進した日と言えるのではないでしょうか。

IMES技術試験

2011年6月20日

産經新聞に「次世代GPS準天頂衛星30兆ビジネス狙う」と刺激的なタイトルの記事が出ていました。準天頂衛星の打ち上げに向けてかなり前向きな記事ですので、是非一読を。

これらを実現させるためにも、足下の技術をしっかり固める必要もあり、先週末も歩行、IMESの技術試験を行ってきました。慶応大学の神武教授のご協力のもと、IMES firstといわれる、衛星の検索順番をIMESから検索する特別なQZSRを受信機メーカ様に用意していただき、動作チェックをしました。結果は歴然で、GPSが全く受信不可能な室内で従来のβ1でIMES取得まで19分かかったものが、10秒程度で取得できました。実際の室内移動を考えた場合十分な速度が得られましたが、当然GPSでの測位速度への影響も考慮する必要があるため、GPS,IMES含めてさらなる試験が必要となります。また、屋内、屋外の出入りに関しては、屋外から屋内に入った時、なかなかIMESに切り替わらない等まだ課題もありましたが、複数のIMESの切り替え等、技術的な課題は確実に一つずつクリアしてきた感じを受けています。

今週はSPACのL1SAIFの放送が無いため、QZS Prove Toolに関しては基本的な動作確認を中心に行い、今までのデータを整理しつつ、来週の技術試験に向けた準備を進めていきます。

QZSRβⅢVer1.0試験開始

2011年6月14日

昨日午後にQZSRβⅢVer1.0が届きましたので、会社のオープンデッキのベランダでは、17時過ぎくらいからQZSの補足ができるため、早速デッキで静止での動作確認を行い、QZSRの仰角が60度を超える20時過ぎから会社周辺での歩行による試験を行いました。歩行試験はβⅡ改はGPS+L1SAIFで、βⅢVer1.0はGPS+QZS L1C/A+L1SAIFのモードで、数cm離してボード上に並べて、南北、東西方向の道路を含むルートで行っています。上空視界の良い場所をスタート地点とし、QZS Prove Tool の新機能である静止観測モードで、DRMSが0.5程度まで落ち着くのを待ってから歩行計測を開始しています。商店街を含むルートでいつも行いのですが、常時衛星数は6〜10個が見えており、またL1SAIFはほぼ外れる事無く測位が出来ております。北方向に建物を背負った状態ではマルチパスの影響が出ましたが、こちらもQZS Prove Toolの新機能であるアラートが動作し、測位可能状態でも状況が悪い場合に警告を出す事が確認できました。

私はよくAXAから無料で提供されているi-phoneアプリ「QZ-finder」を利用してQZSの位置を確認してから試験等を行うのですが、QZ-Vision(QZSの特設ページ)のPlayの[2D](menuから選択できます)を利用すると、小金井限定のようですが指定した時間での天球図、仰角を見る事が出来るため測位環境の判断に利用できます。また、今の時期限定ですがQZSSのTwitterでグアム付近の「こんばんは」が来ると、あぁそろそろ日本でも60度付近だなと目安になったりします。

準天頂衛星「みちびき」L1SAIFの民間利用実証用ツールQZS Prove Toolの開発状況ですが、先週集中的な開発を行い、GPS測位状態のアラートインフォメーション、静止測位用の機能追加、ATパラメータ対応杭探索機能の開発が一通り完了しました。 SPACよりL1SAIFの配信が今日と木曜日(06/16)に深夜放送を行うと連絡をいただいているため、今週は機能の動作試験を実施していく予定としています。

さて、先週末SPAC様にて受信機、API、APPの各担当者が集まり現状の確認を行っています。QZSR受信機の開発及び、API,APPの動作確認に関して問題なく進捗している事が確認されました。また、IMES,TTFFに関しては改めて検証を重ねていくよう調整を続けています。引き続き私どもを含め各担当者が民間利用実証参加者が安心して利用できるよう、機能向上をはかっていきたいと思います。

【お知らせ】

06/16(木) NHKクローズアップ現代「GPSで災害に立ち向かえ」で当社MMSによる取組みが紹介されます。是非ご覧ください。

昨日(06/06)日経の夕刊に「政府調査会 GPS予算要求で合意」の記事が掲載されました。また、三菱電機より鎌倉製作所に人工衛星生産棟増築のニュースリリースが出ました。国土地理院からは 06/03にマルチGNSに関する企画競争の公募も出されています。実際の打ち上げは数年後にはなるのでしょうが、「みちびき」の必要性が認知され、着実に前進をしている事を感じます。

今のところ何機体制まではわからないのですが、宇宙開発戦略専門委員会の中間報告(04/25)では、以下のパターンで検討されているようです。
A:持続測位可能な測位衛星システム(7機体制)
 A-1:準天頂衛星4機+静止衛星3機
 A-2:準天頂衛星5機+静止衛星2機
B:他国の測位衛星システムの補完・補強のためのシステム(持続測位は求めない測位衛星システム)
 B-1:準天頂衛星3機+静止衛星1機
 B-2:準天頂衛星4機
 B-3:準天頂衛星5機
開発整備費が7機体制の場合2,300億、4機体制で1,500億と試算されており、事業経費削減が焦点となっているようです。

話は変わりますが、昨日L1SAIF利用実証用QZSRの試作版をSPACより預かりました。今回お借りしたものはH/Wのみの修正という事で、従来QZSRβ1/2と機能によって2つに分かれていたものが1つにまとめられたものとなります。ファームウェア、ドライバーは現在のもので動くという事でしたので、API試験結果を受け、APP側のテストを行いました。まだGPSのみでの動作確認のみですが、現状のQZS Prove Tool で問題なく動作する事を確認しています。この後ファームウェア、APPの機能改善等を段階的に行いながら、利用実証参画者が安心して利用できるように試験を繰り返し、夏の終わりには提供できるように準備を進めていきますので、よろしくお願いいたします。

IS-QZSS (1.3版)

2011年6月 6日

06/02にJAXAよりIS-QZSS(準天頂衛星システム ユーザインターフェース仕様書)の1.3版ドラフトが公開されました。興味のある方はQZ-VisionのUSEからダウンロードできます。
今回の改訂ポイントは
・GPS L1Cメッセージ仕様の設計進捗
・SPAC-LEX信号に関する情報の追加
・打ち上げ後の運用に伴う諸情報の更新
・地上補完信号(IMES)に関する開発の進捗
の4点となっていました。ざっと改定点を追った感じでは、LEXのメッセージタイプの156〜255がSPACが利用する事が明記されていましたが、中身に関しては別の資料の様であり、またIMESはメッセージの中身が一部変更されていました。打ち上げ後の運用に伴う・・・は放送パターンテーブルの提供という事で、既にQZ-Visionで公開されている「実験スケジュール」の事のようです。何にしてもボリュームのある仕様書ですので、改め時間をとって確認はしておきたいと思います。また、コメント募集は6月30日までとなっていますが、早めに出しておくと、6月22日に行われるIS-QZSS-MTで、コメントに対する回答があると思いますので、コメント等がある方は早めに出された方が良いかと思います。(毎回まではMTまでに取りまとめられたコメントリストが提示されていますので、多分今回もあるのではないかと勝手な想定ですが。)

SPACから利用実証参画者に提供されるQZSR受信機(L1SAIF)の最終版が8月後半にアップされるため、合わせてアプリケーションも最終版に向けた開発を開始しました。先日の第三回利用実証調整会議でお話ししたように、インフォメーション周りの強化と、いままで受信機で対応していなかった機能が仕様書通りに対応するため、それら機能にアプリケーション側も対応していくこととなります。また開発と同時に提供するためには、試験や調整を繰り返していく必要があります。この時期「みちびき」が日本上空に滞在するのが深夜時間帯となるため、SPACも深夜のL1SAIF放送を検討していただいているようです。

今のところ開発進捗は順調であるが、TTFF等の新しい要素や、前回のシステムで最終確認に至らなかったIMES等まだ不安定なリスク要素も含んでいるのは確かなので、タイトなスケジュールの中、受信機の開発メーカー、API作成者、SPACと協調し、利用実証参画者が安心して利用できるシステムを提供したいと思います。

マルチGNSS

2011年6月 1日

2010年の時点で、測位衛星は幾つ利用されているのでしょうか?GPSが31機、GLONASSが23機、COMPASSが6機(らしい)、SBASが7機、そしてこれにQZS1機を加えると、68機の測位衛星が運用されている事になるそうです。相互運用のための環境はまだまだですが、ICG等で協議は進められており、マルチGNSSとして相互運用できる時代も意外に近い将来なのかもしれません。
さらに各国の計画をみると10年後の2019年には、GPS,GLONASSの数は大きく変わりませんが、COMPASSが32機体制(らしい)へ、そしてGalileo27機、印度のIRNSSの7機、そしてQZSの7機体制と、SBASも含め実に140機の測位衛星が存在する事になります。これらの衛星が相互運用できると測位精度にも大きく変化が生まれます。仰角マスクを高くし、より配置のよい衛星を選んで利用する事でDOP値も向上することで、アベイラビリティと同時に衛星測位そのものの精度向上が期待できます。
例えば、高精度測量の方法の一つとしてRTKがありますが、精度を出すためには高価な2周波のGPSが必要となります。以下シミュレーションの結果としてですが、現在のGPSのみの場合、2周波GPSを利用し、仰角マスク30度で、
Fixing Ratio=87.6%,RMS Error E-W=3.4cm,N-S=10.5cmになるそうです。
これが、10年後、GPS+Galileoを利用した場合、数万円程度の安価な1周波GPS受信機を利用した場合で
Fixing Ratio=90.1%,RMS Error E-W=1.2cm,N-S=2.1cmになるそうです。
つまり相互運用が可能になれば、数百万もする機材ではなく、十数万の機材で今以上の精度が出せる事になります。最もアンテナの性能等にも依存する度合いは大きいので一概には言えないものですが、マルチGNSSが高精度測位の考え方を大きく変えてしまう事は何となくわかるのでは無いでしょうか?