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準天頂衛星「みちびき」

Google-Earthと利用実証

2011年1月31日

Google-Earthは測位データ(NMEA)をKMLというフォーマットに変換する事で、座標値をプロットできるため、測位結果の表示をGoogle-Earthに表示させる方も結構いるのではないでしょうか?

Google-Earthの表示精度の関係でこのKMLファイルを開く機会があった。KML自身は変換ツールを利用して作成しているようなので、その変換ツールの仕様なのかもしれないが、NMEAが分以下少数6桁に対して、KMLは度以下7桁の緯度経度精度となっていました。事実上NMEAより約1桁(注:NMEAの「分」は60進なので、約です。)ほど精度劣化している事になります。つまり「みちびき」の精度検証にGoogle-Earthを利用するのは不向きなようである。また地殻変動量もグレーであるため絶対位置評価等に使うには適してはいないと言えます。

ただし、写真の上にプロットや軌跡を表示できるGoogle-Earthはわかりやすく、説明しやすいと思います。どのような環境のところを測位したのかを表現したり、軌跡を幾何的な形状として視覚的に理解するのには役に立つので、利用実証を行うにあたり、上手く使い分ける必要がありそうです。

JAXAが1/27にGPS補完信号(L1C/A,L2C,L5)のコードを標準/非標準に切り替える機能確認試験を行うと連絡を受けた。つまり、今日は準天頂衛星のGPS補完信号が安定的に提供されないため、準天頂衛星のGPS補完信号を受ける事ができない。私たちが開発している民間利用実証用ツールも当然今日はただのGPS受信機としてしか利用できない。

先週よりJAXA/SPACより提供されたアンテナを利用して、会社近辺やモリコロパーク(愛知万博跡地)などを計測しているので、今日はそのデータを整理してみようかと思う。地図と測位データを重ねる事が、最も簡単に視覚的に評価できる方法だが、地図は1997年の位置を正としており、衛星測位は当然今の位置を取得する。測量では地殻変動量を補正するが、今回利用実証で使用する機器は当然そのような機能はない。だから地図と重ね合わせても単純に位置としての評価は困難である。そのため今回は計測する際に、タイル沿いに歩き四角形や円等の幾何てきな軌跡で一部測っている。上空視界が良い場所はGPSだけでも、形状的なゆがみは少ないが、建物の周囲などは準天頂衛星を利用しているモノに比べ明らかに歪みが大きくなる。数値的な評価をするツールがまだ設計段階であるため利用できないが、形状だけ見ていても面白い結果が得られそうである。

GPS補完

2011年1月24日

前回の続きになりますが、「みちびき」はGPS補完(GPSと互換性の信号を出しGPS衛星の一つとして測位に利用できる)機能があります。

準天頂衛星の名前の通り、ほぼ日本の天頂付近に配置されており、60度以上の仰角に8時間以上留まる。みちびきは約23時間56分で地球を一周するため1日4分ずつズレます。これはちょうど1年で1日分ズレる事になります。民間利用実証が開始された今はちょうどいい時間(9時~17時くらい)に天頂付近にいるが、4月には早朝からお昼頃までになります。

衛星測位には少なくとも4機以上のGPS衛星が必要であるが、山間部では山の谷間、樹木、都市部では建物等に上空視界が遮られ十分な衛星数を確保できない事が多い。実際新宿辺りだと衛星測位可能な時間は20%程度だとも言われています。これが「みちびき」が準天頂付近にある事で一気に70%まで測位可能になると期待されている。ただ単にGPS補完信号を出すだけではなく、特徴的な衛星軌道自身が測位可能性に大きな効果を与えています。

また、GLONASS(ロシアの測位衛星)を使えば、測位可能な時間が多くなると言われるので、準天頂衛星じゃなくてもという意見を聞く事もありますが、根本的な違いとして、準天頂衛星は24時間複数の地上局でその衛星そのものの位置が管理されており、GPS同様非常に高い品質の衛星自身の位置情報を持っています。(GLONASSが悪いという意味ではないです。GLONASSはその目的からロシア上空では高品質な衛星位置情報を持っていますが、地上局が限られるため管理範囲を外れた場合、衛星位置情報の品質が保持できなくなる可能性があります。)安全、安心な位置情報という意味では、準天頂衛星はGPS衛星同等の衛星位置情報の品質を目標としており、互換信号を出すというだけでなく、GPS衛星と併用しても品質劣化をせずに測位ができると言われています。

α版

2011年1月21日

19日に準天頂衛星利用実証向けのL1SAIF対応アンテナ[QZSR受信機]α版が、利用実証参加機関に配布された。

早速新しいドライバーを入れチェックを始めている。リニューアルされた部分もあり、多少のアプリの調整も必要なようである。特にα版からは利用参加者への提供も行うため、トラブル等に対応できるように、提供予定である来週頭まで、慎重な作業が続くことになる。

このアンテナは、従来のGPS以外に準天頂衛星のL1 C/A信号、L1SAIF信号、IMESが受信できる。残念ながらα版ではL1SAIFとIMESが利用できない等の制約がある。来月中旬頃には補強情報に対応した受信機が準備されるようなので、それまでは準天頂衛星のGPS補完機能の効果分析をしてみたいと思う。

ところで、準天頂衛星初号機からは測位信号として4周波6種類の信号を発信している。この6つに信号は、GPSと互換性のある信号4種類と、測位補強信号2種類に分類できる。GPS互換信号は、現在のGPS(Block ⅡーR/R−M)で利用されているL1C/A,L21だけではなく、GPS近代化(Block-ⅡF)のL5、さらに次世代GPS(GPS-Ⅲ)のL1Cに対応しており、将来の衛星測位にも十分に対応できる。またL1,L2,L5の3つの周波数に対応した測位衛星は、GPS本国のアメリカですらまだ成功しておらず、「みちびき」事実上世界初の測位衛星でもある。

2種類の補強信号L1SAIFとLEXに関しては改めて別の機会に説明します。

 

久しぶりです。

2011年1月18日

2ヶ月間更新できずに申し訳ありませんでした。

昨年11月末より、民間利用実証のとりまとめを行っている(財)衛星測位利用推進センター(通称SPAC)よりL1SAIF利用実証に向けた技術協力を要請され、なかなか時間が作れずに本日に至っております。この2ヶ月の間に、「みちびき」本体は12/15にJAXAより発表のあったように定常放送を開始しており、民間利用実証のできる環境が整っております。私の方はL1SAIF利用実証参加30機関への準備状況のヒアリングや、評価時の課題等の説明を行いながら、JAXA/SPACの準備したL1SAIF用アンテナ、ドライバー、APIを利用して利用実証のためのアプリケーションの開発を進めておりました。

今日やっとそのα版が完成し、明日行われる利用実証会議で説明を行う予定です。既にL1SAIFの利用実証参加機関のうち80%以上の企業が私どもの開発したツールの利用を希望しており、開発期間の限られる中、プレッシャーを受けつつ、なんとか提供できる状況にはできました。

残念ながらまだ、QZSの電波を受信できていませんが(※GPS互換に関してはテストフラグがたっており、民間利用電波が放送されるとき、要請によって解放される事となっています。次の民間向けの放送スケジュールは1/22〜ですので、それまでは我慢です。)

今までは高精度測位が前提であったのに対し、今回は測位できる事自身が重要となるため、同じ衛星測位でも大きく分化の違いを感じつつ、色々と勉強させてもらっています。引き続きSPACを通じて民間利用実証の技術支援をしていきますが、今後はこちらの記事もちゃんと更新するよう気をつけます。