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新よくわかる測地成果2000

昨年6月に交付された改正測量法は、この春からの施行が確実になりました。この事業に深く関わる都府県測量設計業協会は、改正測量法への円滑な移行を目指し、会員の技術研修会などを精力的に行う傾向を強めております。会員研修などにあたっては、弊社が2年余前に発売を開始した教育用支援ソフト「JGD2000 Solution Tool」が教材として、数県の測量設計業協会等などで利用され、また、最近は弊社への問合せ数が増加し内容も具体的になってくるなど、弊社の支援ソフトへの期待が強く感じられます。

それらの内容に応えるために、一昨年6月から昨年3月までの10回講座で終了しましたHPを再開させていただきます。真に微力ではございますが、弊社の支援ソフトが皆様のお役に立てればと念じている次第です。

今後ともご高覧の程宜しくお願い申し上げます。

再開の第一段として、「TKY2JGD」利用時の支援ソフト「Solution Tool/EDX」(誤差判定指数)の説明から入りたいと思います。

地理院は3年程前に測地成果2000の計画を公表し、全国的説明会を行いました。中心課題は、地理院が提供する座標変換ソフト「TKY2JGD」によって公共基準点などの座標変換を行えば経費がかからない、というものでした。こうした地理院の全国的な宣伝の結果、ある人が「猿でもできる座標変換」と述べたことに象徴されますように、この事業を安易に受け止める傾向がいたるところで生じてきました。

大正の関東地震及び終戦前後の東南海地震に伴う三角点成果の復旧において、測量せずに計算だけで復旧処理した地域がありました。改算地域と呼ばれていて、この地域の三角点座標成果の不整合は著しいものです。この例で証明済みのように、「実測なしで正確な位置を求める手法」は空想の世界のことです。弊社の測地成果2000班は、「TKY2JGD」のもつ本質的問題を具体的数値で明らかにする調査研究を進めて参りました。1月7日、地理院はそのパラメータを公開しましたが、弊社が3年程暖めてきた調査・研究成果をここにお知らせできることになりました。

地理院はその後の説明会において「TKY2JGD」に使用限界があることを説明しています。多くの地方自治体は今も「TKY2JGD」による座標変換で経費がかからないものと考えているようですが、ここにきてにわかに実測予算の獲得の裏づけ資料が必要になった自治体もあります。「EDX」は予算獲得の裏づけ資料作成に応えるものです。ご利用下さい。

第1回 第2項

2010年7月29日

第2項.EDXの概念とその利用方法


「TKY2JGD」は、3パラメータ(以下パラメータ:パラ)または多パラによる座標変換を行います。3パラによる変換の位置はm単位の誤差をもっていますが、変換された図形にはゆがみがありません。多パラの場合、位置誤差は1m以内に変換されますが、多パラがもつ個々の誤差により図形がゆがんで変換されます。そこで、ゆがみのない3パラの図形を基準にして多パラの図形のゆがみを計算したものが「EDX」です。図1の概念をご参照下さい。

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上図 原型の円が変形して図のような楕円になる場合、面積の変化は小さく面積誤差は小さいが、ゆがみ(角度誤差)大きくなる。
下図 原型の円が図のような円に変形する場合、角度誤差は小さいが、面積は小さく変形しているので面積誤差は大きくなる。

 
図形のゆがみは、「面積誤差」および図形がねじれる「角度誤差」の二つの物理量で表せます。面積誤差の単位は10万分の1および角度誤差の単位は1秒で現してあります。「TKY2JGD」は1km」×1kmの格子上にパラメータが配置されています。図2に示してありますように、10~20秒の角度誤差に相当する格子区画の色は、灰色で現されています。順次20~40秒は緑色、40~60秒は黄色、以降紫・赤色となっております。図2は「角度誤差」を示したものです。幾つかの特徴が読みとれます。

  1. 大規模に改測・改算された東京都及び阪神・淡路地区などではゆがみが小さいものの、未改測地域との境界においてゆがみが大きい。
  2. 伊豆・丹後他など地震発生地域ではゆがみが大きい。
  3. 久住・桜島など火山地域ではゆがみが大きい。
  4. 夕張・常磐など炭坑地域でのゆがみが大きい。
  5. 炭鉱地域などを除いて北海道のゆがみは大きくない。
  6. 原因は北海道の国家三角点密度は内地に比べ半分であるため、ゆがみがでにくくなっている。北海道の場合ゆがみが小さいからといって正確な位置に座標変換できるとは限らない。

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図2 EDX「角度誤差」分布概念図

公共測量作業規程に示された点間距離1kmの1級基準点は「TKY2JGD」の格子点距離に相当します。1級基準点測量の1方向の標準偏差(σ)は1.8秒となっていて、方向誤差の許容範囲を3σとすればそれは5.4となります。従いまして、黄色など色の付いた地域において、「TKY2JGD」を使って基準点の座標変換を行う場合、慎重な処理が要求されると思います。
「TKY2JGD」パラメータが公開されたばかりで、図2は概算的なものです。精査の上近日中にEDX「角度誤差分布Map」のサービスを開始したいと思います。「TKY2JGD」使用のご判断の材料として、是非ご利用下さい。

第1回 第3項

2010年7月29日

第3項 今後のHP掲載内容(予定)
今後の「測地成果2000を契機に考える!」は、以下を予定しています。

  1. 行政へ説明する座標系の基礎知識(任意座標・公共座標・世界測地系)
  2. 行政への説明公共座標づけの必要性(地図混乱地域など例題によって説明)
  3. 座標変換マニュアル解説(独自の)
  4. Solution Toolを使っての事前調査の精度評価方法(かなり専門的内容)
  5. FRMなど支援ソフトの解説

第1回 第4項

2010年7月29日

 

4.弊社の測地成果2000支援ソフト群
弊社の測地成果2000班は支援ソフトを「Trans/***」と名付けていますが、その主なものは、次のようなものです。
EDX(Error Index:誤差指数):
国土地理院が提供する座標変換プログラム「TKY2JGD」のもつ変換誤差を推定し、「TKY2JGD」の使用範囲の判定材料として、客観的に判断できる数値化により、支援サービスができます。
LSC(Least Squares Collocation:最小2乗内挿):
国土地理院座標変換マニュアル第37条に示された各地域に適合した座標変換プログラムです。
主に境界点などの座標変換に使われますが、測地学では定番のLSC法を使い第37条をきめ細かく支援するものです。
FRM(Frame:フレーム):
不動産登記法17条地図における図郭の座標変換専用のもので、「TKY2JGD」を使った場合より5倍程度の効率化ばかりでなく、入力ミスの点検や作業の工程管理などができます。
その他のものは、上記の流れ図「地理院マニュアルの隙間を埋める測地成果2000支援ソフト群」図1をご参照下さい。
今回はそれらのうち「Tらんs/EDX」についてご説明申し上げました。
(文責:中根勝見)

 

第4項 弊社の測地成果2000支援ソフト群

 

弊社の測地成果2000班は支援ソフトを「Trans/***」と名付けていますが、その主なものは、次のようなものです。

 

EDX(Error Index:誤差指数):

国土地理院が提供する座標変換プログラム「TKY2JGD」のもつ変換誤差を推定し、「TKY2JGD」の使用範囲の判定材料として、客観的に判断できる数値化により、支援サービスができます。

LSC(Least Squares Collocation:最小2乗内挿):

国土地理院座標変換マニュアル第37条に示された各地域に適合した座標変換プログラムです。

主に境界点などの座標変換に使われますが、測地学では定番のLSC法を使い第37条をきめ細かく支援するものです。

FRM(Frame:フレーム):

不動産登記法17条地図における図郭の座標変換専用のもので、「TKY2JGD」を使った場合より5倍程度の効率化ばかりでなく、入力ミスの点検や作業の工程管理などができます。

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その他のものは、上記の流れ図「地理院マニュアルの隙間を埋める測地成果2000支援ソフト群」図1をご参照下さい。

今回はそれらのうち「Trans/EDX」についてご説明申し上げました。

 

(文責:中根勝見)

 

 

 

第2回 第1項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって

 

第1項 はじめに

改正測量法の施行が近づいてきました。日本の新しい位置をつくりだす事業として成功させたいものです。弊社は微力ながら、この事業の成功のための「支援ソフト」を開発して参りました。最近、お客さんから弊社への問い合わせの圧倒的多くは国土地理院が提供する座標変換プログラム「TKY2JGD」に関するものです。今回それらの質問に答える内容をまとめてみました。

 

 

第2回 第2項

2010年7月29日

 

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって

 

第2項.TKY2JGDを使えば「猿でもできる座標変換」?!

私自身お客さんから直接聞いたことですが、「改正測量法に伴う座標変換は国土地理院の座標変換プログラムTKY2JGDを使って行うので猿でもできる」という誤解です。地方自治体の担当者を含め多数の関係者を代表した意見のように思います。そうした背景があるから、弊社への問い合わせも勢い「TKY2JGD」に関したものになっているのではないでしょうか。

地方自治体などが「TKY2JGD」の利用を考える理由は、

  1. 国土地理院推薦手法なので安心である
  2. 財政難のおり安上がりである
  3. 単純である
  4.  

ことに尽きると思います。

第2回 第3項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって

 

第3項 TKY2JGDは「低精度である」?!

弊社では改正測量法に伴った新しいソフトへの「乗り換え」をお客さんにお勧めしております。お客さんから返ってくる内容に、次のような手順で世界測地系座標を得るというものが、少なからずあります。

これまでどおりWingNeo/ProWingによる計算

⇒ TKY2JGDによる座標変換

⇒ 世界測地系座標をget

したがいまして、現在手持ちのWingNeo/ProWingを更新する必要はない、というものです。

このお客さんによれば、これまでと同じように日本測地系で処理して、その後TKY2JGDにより世界測地系へ座標変換すれば事足りるというものです。この手法には決定的な誤りがあります。

これまで国土地理院は3回の説明会を行ってきています。第1回目では、「低価格処理」の「TKY2JGD」の有効性が大宣伝されました。その結果、「猿でもできる座標変換」などと思い込む関係者を生み出しました。ところが、最近の国土地理院の内部資料によれば、「座標値を世界測地系へ移行させる方法として、再測量・再計算があるが、それに次ぐ3つ目の座標変換は、低精度ながら安価・・・・」としてTKY2JGDによる座標変換を「低精度」としています(GSIテクノニュース第103号平成13年4月10日)。このように国土地理院は、内部的にはTKY2JGDを「低精度の座標変換手法」と扱っています。

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▲地理院HP「月刊GSIテクノニュース 第103号」より

 

前述のお客さんの手法は「低精度」な結果を得るものなのですが、なによりも日本測地系と世界測地系を混同した決定的な誤りがあるわけです。

 

 

第2回 第4項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって

 

第4項 TKY2JGDには「ゾンビ?が潜んでいる」?!

明治時代につくられた国家基準点は、その後の地殻変動や地盤変動などでそれらの座標の不整合が大きくなっています。

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上図のように国家三角点Aを出発して公共基準点aを測り国家三角点Bへ終結します。しかし測量結果と国家三角点Bの不整合が大きく作業規定に示す誤差の許容制限を越えてしまいます。この場合の国土地理院の技術指導として、Bを無視して他の国家三角点Cへ取り付けることがあります。それで、作業規定の誤差の許容制限におさまっていれば、国家三角点Bは亡きものとして、A及びCが生きたものとして使われます。

ところが、TKY2JGDの計算においては、国家三角点BがA及びCと共に使われます。もともとB点の座標は不整合が大きいので、B点付近の座標変換結果は思わしくありません。一度死んでしまったB点が、TKY2JGDによって墓場から引き出され、生き返って悪さをするのです。私はこうした点を「ゾンビ」と呼んでいます。こうしたゾンビ国家三角点は日本のあちこちに潜んでいます。

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▲Trans/EDXによる関東地方のゆがみ図

※色付地域においては基準点の座標変換に慎重を要する。

図は弊社開発のゆがみ図(Trans/EDX)です。緑色の地域は角度誤差相当で10秒、だんだん色が濃くなるに従い角度誤差が大きくなり、赤色地域では角度誤差相当30秒を超えます。東京都は平成3年に改算しましたので、周辺地域と大きな不整合があり、その境界地域ではTKY2JGDのゆがみが極めて大きくなっております。その様子が図上にはっきり現れています。こうした地域では、基準点の座標変換に極めて慎重を要します。横浜市におけるTKY2JGDによる座標変換結果、大きいところでは座標変換誤差が70cmに達するところがあると報告されています。このような座標変換誤差の大きい場所は、上図の赤色地域です。

図をみてもお分かりのように、関東地方における基準点の座標変換方法にはTKY2JGDの慎重な扱いが要求されます。

 

 

第2回 第5項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって

 

5.TKY2JGD「実測なくして正確な位置求まらず」?!

古くなりますが、小泉首相の「改革なくして景気回復なし」の言葉を借用すれば、測量では「実測なくして正確な位置求まらず」といえます。これは、基準点測量関係者の常識です。測量しないで正確な位置が求まるのであれば、測量業者は不要の存在になります。

1923年関東地震後,三等三角点の改測が772点,改算が645点行われました。1946年南海地震などの後三等三角点の改測が1133点、改算は2374点行われました。いずれも改算地域の座標の不整合が大きく、改算地域の国家三角点を使う場合大変な苦労が要求されてきました。そうした経過があり、「実測なくして正確な位置求まらず」というのが常識ある測量屋さんの知識となっています。

TKY2JGDは測量の実測をしないで位置を決める手法なので、利用方法に限界があるのは当然です。国土地理院は、GPS観測の実測結果と比較してTKY2JGDによる座標変換の精度検証を行いました。その結果の一部が、2000年1月26日の日本測量技術調査協会の講習会で報告されました。その内容は、「検証した四等三角点等1000数百点の90数%が20cm以内である」というものです。

四等三角点は62000点なので,そのうち数千点の座標誤差が20cmを超えることになります。おそらくこうしたことを根拠にして、TKY2JGDによる座標変換を国土地理院の内部では「低精度」として扱っているのでしょう。

しかし、国土地理院は成果不良地域を明らかにしていません。弊社では、その利用の限界を具体的な数値で定量的に示すTrans/EDXを開発しました。その一部が前掲の関東地方のゆがみ図です。このTrans/EDXはTKY2JGDの利用にあたっての判定基準用支援ソフトとして活用いただけることと思います。

 

なお、月間「測量」の昨年9月号の通り、この歪みを実務で活用できる様、具体的な数値で定量的に示す手法・表現方法は特許申請予定です。

第2回 第6項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって

 

6.改正測量法の成功は測量業者の双肩に!!

今回の改正測量法の実施にあたり国土地理院は一切の補助金を用意しておりません。全ての経費は、地方自治体など管理者側の負担です。どこも財政が厳しい状況ですから、金のかからないTKY2JGDによる座標変換が主流になりそうです。模範となる国土地理院が、全国約62000点の四等三角点のほとんどをTKY2JGDにより座標変換するのですから、地方自治体がそれに見習うのは当然でしょう。ある地方自治体が試行的に発注した単価は、1点あたり20円にも満たない額でした。

繰り返し述べましたように、TKY2JGDの利用には限界があることを測量業者はよく理解する必要があると思います。その上で、改正測量法に伴う座標変換を正確に行うよう地方自治体に働きかける必要があります。極端にいえば、改正測量法の成功は測量業者の双肩にかかっているといえそうです。

(文責:中根勝見)

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第3回 第1項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その2

第1項 はじめに

改正測量法の施行が近づいてきました昨今、お客さんから弊社への問い合わせは、やはり圧倒的に国土地理院が提供する座標変換プログラム「TKY2JGD」に関するものです。
その多くは、極めて基礎的な用語・入門ものでありますが、具体的な実務に関する質問も増えて来ている事は、施行が近づいて来ている証とも言えるでしょう。
そこで、前回に続き「TKY2JGD」に関した説明を続けたいと思います。「TKY2JGD」座標変換プログラム本来の優れた機能・仕組みとその利用の限界をよく理解して、是非共ビジネス機会を創出したいものです。

第3回 第2項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その2

2.開発製品の一人歩き

国土地理院は、以前に「TKY2WGS」を開発しました。「TKY2JGDWGS」は、GPS測量の基線解析に使うWGS84座標を得る目的で開発されたものです。日本測地系座標をWGS84座標へ変換するもので、変換誤差は数mまで許されます。しかし、「TKY2WGS」が開発者の手を離れた瞬間に「一人歩き」をはじめました。目的はともかく、日本測地系座標をWGS84座標へ変換するツールとして使われはじめました。正確なWGS84座標を得る目的で、三角点成果の日本測地系からWGS84への座標変換に使う例も見られました。その結果、「成果が合わない」などと騒ぎだすわけです。
「TKY2JGD」の場合についても、開発者の意図を離れて「一人歩き」している場面に、私はしばしば直面するわけです。前回は警鐘を含めて基準点に関する「TKY2JGD」使用限界を詳しく述べたところですが、使用者は「TKY2JGD」の仕組みをまず十分に理解する事が、必要ではないでしょうか。

第3回 第3項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その2

第3項 TKY2JGDの座標変換方式の概略

「TKY2JGD」による座標変換の仕組みを簡単に復習してみましょう。
全国に一二三等三角点は約39000点あります。三等三角点間の点間距離は約4kmです。各三角点は日本測地系座標(旧座標)と世界測地系座標(新座標)をもっていますので、その差は図の赤矢印であらわせます。これらの三角点の新旧座標差を基に1km×1km格子点上の変換パラメータをKriging法により決めます。日本の面積は約38万k㎡なので1点の三角点が10点の格子点上の変換パラメータをつくることになります。変換したい点は、周囲4点の格子点の変換パラメータに基づいてBilinear法で新座標を求めます。
以上が国土地理院の発表に基づく「TKY2JGD」座標変換の仕組みです。お分かりのように、旧座標が変換パラメータの要素として使われているわけですから、旧座標のもつ誤差が変換結果に伝播してきます。従いまして「TKY2JGD」による座標変換を行う限り、旧座標誤差の呪縛から逃れられないと考えます。以上のことを理解した上で「TKY2JGD」を活用すれば、ビジネス機会を生み出すことができるのではないでしょうか。

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17条地図の図郭の座標変換

第3回 第4項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その2

第4項 TKY2JGD と弊社 Trans/FRM (17条地図の図郭の座標変換)

法務局が管理している17条地図及び公図は570万枚ともいわれております。そのうち約半分が17条地図で、測量法の改正に伴って図郭の座標値が変換されます。一部法務局では平成12年度から、この図郭の座標変換作業が行われており、すでに世界測地系座標が記載された17条地図が閲覧されているところもあると聞いております。
国土地理院が提供するTKY2JGDは「汎用」が目的ですから、17条地図「専用」とはならず、3000枚の公図に対する図郭座標変換に半年かかった例もあると聞いております。そこで弊社では、TKY2JGD方式の座標変換計算に、図郭概念と印字機能を付加して、図郭に関する座標変換専用ソフトとしてTrans/FRMを開発しました。「FRM」は「Frame」の略称ですが、このように様々な目的・場面を想定した専用ソフトが、実務上では大いに役立つ事になるでしょう。

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計算・シール印字(A4既成用紙)と点検管理で、効率抜群!

本製品の特色

  1. 図郭数値の変換作業からシール印刷、成果一覧表の作成まで一連処理が可能です。
  2. 入力・結果の確認や点検管理等、座標変換における全体管理が行えます。
  3. TKY2JGDを使用した場合と比べ、全体作業は3~6倍のスピードアップができます。

第3回 第5項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その2

第5項 数値地図等の座標変換

国土地理院は数値地図の座標変換として「DMConvert」を開発して、一般に公開するとの事です。この座標変換は「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」第4章数値地形図座標変換に定められたものです。以下の図は、同マニュアル31・32頁から引用したものですが、いずれもTKY2JGD座標変換が使われています。

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図郭の代表点を座標変換する方法

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図郭の四隅を座標変換する方法

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数値地形図の全座標データを座標変換する方法

弊社のTrans/FRMは現在、17条地図等の図郭の座標変換のためのものですが、若干内容を変更すれば、あらゆる図面・図郭の座標変換に対応可能です。また、弊社は、数値地図の座標変換を目的としたTrans/MAPも開発の日程に入っております。国土地理院のDMConvertは汎用的なものですが、弊社製品は汎用形式の入出力もサポートし、目的に適した使い勝手のよいものになる予定です。
なお、座標変換の正しい英語は、当て字的な「Convert」でなく「Transform」なので、弊社の製品は「Trans/・・・」と正しい名づけにしております。

第3回 第6項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その2

第6項 Trans/EDXの活用をお勧めいたします

以上の様に基準点の座標変換と異なり、地図の図郭等に関しては、それほど神経を使わずTKY2JGDによる座標変換が行えると思います。しかし、横浜市が報告した例のように、TKY2JGDの座標変換誤差が70cmに達することもありますので,念のため弊社が開発した「Trans/EDX」などによる座標変換地域の事前点検をお勧めいたします。「Trans/EDX」に関しては,本講座第1回をご参照下さい。

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九州・沖縄地方:色が濃くなるほどTKY2JGDの座標変換誤差が大きい。

第3回 第7項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その2

第7項 TKY2JGDを利用したビジネスの創出を

既存の地図の座標変換はざっとみただけでも次にようなものがあります。

  • 地籍図(旧国土庁)約250万枚
  • 17条地図(法務省)約270万枚
  • 森林基本図等(林野庁)
  • 市町村が管理している境界や上下水道等の様々なデータ

世界測地系への移行にともなって、TKY2JGD座標変換プログラムやTKY2JGD方式を搭載した民間の応用ソフトを利用すれば、既存の地図などの座標変換にとどまらず、あらたな座標変換ビジネスを創出することが可能なのではないでしょうか。

 

(文責:中根勝見)

第4回 第1項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その3

第1項 はじめに

相変わらず多い質問は「TKY2JGD」に関するものです。大半は、TKY2JGDのヘルプレベルですが、次の質問はかなり深刻な内容も含んでいます。
お客さんの主張⇒「ソフトメーカは世界測地系に対応した新しいプログラムを売ろうとしているが、新座標を地理院ソフトで旧座標に置き換え、旧プログラムで計算。その後また、地理院ソフトで新座標に変換すればいいんだろ!」と改正プログラムへの更新に抵抗してくるお客さんもいる様です。この不況下で、「余計な支出を控えたい」と思うのは当然でありましょうが、法的な問題はさておき実務的には、不適当で不可能と断言できます。
国土地理院が無償で提供する「TKY2JGD」座標変換プログラムを使って、既知点の世界測地系座標を日本測地系座標へ変換します。そこで得られた既知点の日本測地系により従来のベッセル楕円体要素をもとにした平均計算を行い、その後に再びTKY2JGDにより世界測地系座標を得る、というものです。その流れを下の図1に示します。

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お問い合わせ者による旧プログラムを使用した世界測地系処理手順

第4回 第2項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その3

第2項 測量業者さんの力量が求められています。

初期の頃国土地理院は、「TKY2JGDによる座標変換で万全!費用がかからない!」という印象を全国的に大宣伝しました。99年5月22日に行われた国土地理院の基準点測量関係者のOB会で、現職幹部が 「新座標への変換はTKY2JGDで大丈夫だ!」と太鼓判を押した話を私は鮮明に記憶しています。国土地理院の宣伝の影響が強く現われていて、TKY2JGDによる座標変換を万能のように考えているお客さんが少なからず存在します。本講座において繰り返し基準点に関したTKY2JGD座標変換プログラムの使用の限界を警告してきました。しかし、私達のような1企業では私達周辺のお客さんへの警告に限られて、正しい座標変換の普及は広くに及びません。安上がりだからと「TKY2JGD」による座標変換を行い、後続作業で大騒ぎになる可能性もありそうで、ここは測量業者さんによる正確な処理が求められているのではないでしょうか。
なお、国土地理院は99年秋「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル(案)」を定め、座標変換にあたって「TKY2JGD」による以外の方法もあることを公表しました。

第4回 第3項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その3

第3項 旧測量法に基づく処理は複雑です!

旧測量法で使用してきたプログラムを用いて処理できないわけではありません。しかし、下記に示すような複雑な処理が必要になります。処理手順は以下のとおりです。根気のある方はフォローして下さい。面倒な処理が必要なんだな、ということがお分かりいただければ、読み飛ばして先に進んで下さい。

  1. 日本測地系に比較的近い「Tokyo97」座標系で処理する。そのため、国土地理院HPまたは学会誌などから、「Tokyo97」と「ITRF94」の変換パラメータを求める。
  2. 上記の変換パラメータにより、既知点の「新座標」を「Tokyo97」へ変換する。
  3. 「Tokyo97」のジオイド高を次の手順で求める。
  4. 「Tokyo97」のジオイド高は、「日本のジオイド96」に示されたWGS84のパラメータを「WGS84⇒Tokyo97」の変換パラメータにより計算して求める。この変換パラメータが直接みあたらない場合は「WGS84⇒ITRF94」と「ITRF94⇔Tokyo97」から2回の変換により求める。
  5. 得られた「Tokyo97」のジオイド高を標高に加えた楕円体高を用いて、旧プログラムで処理する。
  6. 処理結果の新点座標を「Tokyo97」と「ITRF94」の変換パラメータにより「新座標」へ変換する。
  7. 上記では「新座標」が得られただけなので、座標から基準面上の距離計算及び観測値の基準面上の距離計算、残差の計算、精度管理など作業規定に定められた処理を行う。

以上の処理に関する注意点は以下のとおりです。

  1. 以上の処理では、古い「日本のジオイド96」を使うので、新しい「日本のジオイド2000」を使った場合との違いを確かめる必要がある。
  2. この処理にあたり既存の支援ソフトはないので全て自社計算になる。
  3. 計算結果は、自社点検を行い間違いないことを客観的データで証明する。
  4. 公共測量の場合は、上記の処理に関して国土地理院の承認を求める。

以上のような複雑な処理が必要になるわけで、間違いなく完璧に処理するのは大変な仕事になります。測量は意外と奥が深いことをご理解いただけると思います。

第4回 第4項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その3

第4項 変換後の図郭は、直線にはなりません!?

よくある質問ですが、TKY2JGDにより座標変換した結果、値が食い違ってくることです。地籍測量の図面は、平面直角座標系で表されてきましたので、下の図2のような正方形の集合となっています。変換後も同じように正方形になると思っている方を多く見かけます。

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図2

これらの図面の図郭数値の四隅をTKY2JGDで座標変換した場合、下の図3のように正方形にはなりません。正方形にならない主な理由は、座標変換ソフトTKY2JGDに付属するパラメータによるものです。

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図3

下の表1は、平面直角座標系IX系のY座標をTKY2JGDにより世界測地系へ座標変換したものです。日本測地系のX座標を -48500m の一定に保ちY座標を変化させて、変換します。世界測地系へ変換されたY座標がどのようになるかを調べたものです。

表1 日本測地系 X=-48500 座標を一定に保ちY座標を変化させる(単位:m)

日本測地系Y -36000 -35000 -34000 -33000 -32000 -31000
変換結果 X 144.265 144.283 144.291 144.277 144.193 144.046
3パラメータ
による変換
144.1443 144.1446 144.1448 144.1452 144.1455 144.1457

表1で3パラメータによる座標変換結果のX座標は、ほとんど同じ値になっています。1mm程度異なりますが、日本測地系と世界測地系の基準面が異なるために生じた座標系の違いによるものです。3パラメータによる変換は図形のゆがみはありませんが、地域毎のパラメータによる座標変換は、変換誤差があります。変換誤差は日本測地系の座標の誤差が主なものです。その結果を下の図4に表しましたが、誤差は20cmを超えております。

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図4

図4は、TKY2JGDによる同一X軸上のYを変化させたときの変換結果です。実際にこの地域におけるGPS測量結果とTKY2JGDによる変換結果は70cmほど異なっています。したがいまして、図4のばらつきの20cm余りは相対的な誤差で、実際の変換誤差はもっと大きいのです。
TKY2JGDを使うとき、上に示したような方法で変換誤差を推定できます。本講座第1回で示しました「座標変換誤差指数 Trans/EDX」は、上に示したような手法を理論的に整理してつくったものです。
なお、TKY2JGDにおいて「地域毎の変換パラメータ」という言葉が使われています。また、「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」においては「地域毎に適合した変換パラメータ」という言葉が使われています。役所は縦割り行政なので部署間の擦り合せがなく、部署毎に独立した「発信」がなされることがあります。弊社でもそうした影響を受けて「地域毎」の意味が曖昧にされてきました。それをはっきりさせるため、前者のTKY2JGDによる場合を「国土地理院全国版変換パラメータ」、後者の場合を「市町村変換パラメータ」などのように実態を反映した呼び方にすることを検討中です。

第4回 第5項

2010年7月29日

TKY2JGD座標変換プログラムの使用にあたって-その3

第5項 不動産登記法17条地図の図郭の座標変換

法務局の一部では平成12年度から17条地図の座標変換が行われております。無吟味でTKY2JGDをそのまま使っていますので、上記に示したような変換誤差の著しいところでは将来問題が発生する可能性があります。地籍測量図についても同様です。
測量業に携わる私達は、本講座第2回で述べました「猿でもできる座標変換」などと考えるのでなく、十分な調査に基づく処理が必要ではないでしょうか。いい加減な処理は、後続作業で問題を引き起こします。

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弊社Trans/FRM (β7) による17条地図 図郭数値座標変換 実例より

(文責:中根勝見)

第5回 第1項

2010年7月29日

第1項 地域毎に適合した変換パラメータ

TKY2JGDから最近多くなってきている質問は「地域毎に適合した変換パラメータ」に関することです。「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル、以下マニュアル」において定められている。

  1. TKY2JGD
  2. 改算
  3. 改測

に続く4つ目の座標変換に関するもので、第37条運用基準に定められたものです。簡単にいえば、市町村単位の正確な変換パラメータをつくる内容のものです。今回はこの「地域毎に適合した変換パラメータ」に関した内容を徹底的に考察してみましょう。
弊社開発の「Trans/LSC」が「地域毎に適合した変換パラメータ」に対応したツールです。4年前から開発に着手し、平成11年暮れ「JGD2000 Solution Tool」として発売をした中に、この「体験版」が含まれています。既に10以上の県測量設計業協会における会員研修の教材の一つとしても使われ、好評を得ているようで、プロジェクトの責任者としては嬉しい限りです。
事前調査の判断手法として必ず持ち出されるのが「1点1方向固定」ですが、この方法は基準点の正確な精度の判断には適当でありません。Trans/LSCによって初めて正確な事前評価が可能になります。すでに、体験版による座標変換は、事前調査のToolとしても利用されてきております。

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第5回 第2項

2010年7月29日

第2項 Trans/LSCに関するQ&A

Q.LSCは何の名前からきたものですか

Least Squares Collocation (最小2乗コロケーション)から名づけたものです。
LSCは離散的なデータから予測や内挿を行うものです。Trans/LSCは内挿を扱っています。私達が最もなじんでいる内挿法は、周囲のデータから目分量で「等高線」を描くことです。LSCは内挿を最小2乗法で計算処理するものです。TKY2JGDに使われている「Kriging法」もLSCと同様、内挿法のひとつです。バイリニア法も内挿のひとつです。LSCは測地学における重力分布を推定するToolとして使われ、現在ではジオイド高の推定にも使われ、日本のジオイド96や日本のジオイド2000でも重力ジオイド高の長波長成分の修正に使われています。

 

Q.「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」第37条運用基準に「地域毎に適合した変換パラメータ」による座標変換が定められています。御社のTrans/LSCを使って計算する場合、既知点は何点必要か。

変換方法によります。各変換方法の変換パラメータ数および既知点の必要最小点数は、次表のようになります。

変換方法 パラメータ数 必要最小点数
平行移動 平行移動2
平行移動・回転 平行移動2、回転1、計3 1点1方向
平行移動・回転・伸縮 平行移動2、回転1、伸縮1、計4
アフィン 平行移動2、回転2、伸縮2、計6

Trans/LSCは最小2乗法により解を求めていますので、表の必要最小既知点数に最低1点の既知点をプラスして変換パラメータを求めるのがよいと思います。

 

Q.どの変換方法が一番適しているか?

上に示しました平行移動など4つの変換方法のうち、どの方法が一番適しているかを調べるのが「AIC」です。下の画面のうち、最も数値が小さいものに相当する変換方法が最も適しています。この例の場合は、平行移動・回転が59.789です。その次が平行移動・回転・伸縮のヘルマート変換で60.403です。その差は0。614です。AICによれば差が1を超えた場合が有意な判定になります。したがいまして、この例の場合、「平行移動・回転」または「平行移動・回転・伸縮のヘルマート変換」のどちらでもよいことになります。既知点が多い場合、アフィン変換が最適な場合が多いのですが、既知点数が少ない場合、「AIC」により変換方法を判定することをおすすめします。
「注」通常、標準偏差で計算の良否を判定しますが、必ずしも正確な判定方法でなく、手法も含めた判定が必要になります。その判定方法がAIC「Akaike Information Criterion」です。

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Trans/LSCにおける変換方法の判定画面

下図はGPS観測値における距離Sと誤差eの関係が、「・」で示されています。誤差モデルとして、次の3つが考えられます。

① e=a

② e=aS+b

③ e=aS2+bS+c

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③の場合は一意の解が得られますが、距離Sが長くなると誤差eが減少しますので、誤差モデルとしてはふさわしくありません。公共測量の場合のように観測点間距離が短い場合、①と②どちらが適しているか?「AIC」によりきめます。無論、②の場合の標準偏差は①のそれより小さくなりますが、②のモデルがよいと限らないのです。

 

Q.Trans/LSCとアフィン変換の違いは?

Trans/LSCの仕組みから説明しましょう。

平行移動による新旧測量網の関係

下の図の赤長方形が旧測量網です。青色の正方形が新測量網です。旧測量網を新測量網に合わせるため平行移動を行いました。平行移動量はx0,y0です。旧測量網はθだけ回転していますが、この時点では回転量は修正しません。変換パラメータはx0,y0の二つです。新旧座標の関係は次式となります。ただし、(x',y')は旧座標(x,y)は新座標。

x=x0+x',  y=y0+y'

平行移動によって新旧測量網を合致させたわけですが、
具体的には平行移動による「中心の1点固定」を行ったことになります。新旧の座標差を黒のベクトルであらわしてありますが、左回転がみられます。

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平行移動と回転による新旧測量網の関係

次に平行移動x0,y0と回転θの三つを変換パラメータとして新旧測量網を合わせます。この場合は「中心の1点固定」および回転の修正で「1方向固定」といえます。新旧座標の関係は次式となります。θが小さいので、cosθ=1、sinθ=θとしてあります。

x=x0+x'-θy',  y=y0+y'+θx'

新旧差である黒いベクトルの回転はなくなりましたが、スケールの差による内向きのベクトルになります。

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平行移動・回転・伸縮による新旧測量網の関係(ヘルマート変換)

スケールを伸縮させ新旧測量網の面積が等しくなるようにします。新旧座標の関係は次式となります。ただし、スケールkは1に近いのでkθ=θ、kx0=x0としてあります。

x=x0+kx'-θy',  y=y0+ky'+θx'

変換パラメータは、x0,y0,θ,kの四つで、「ヘルマート変換」と呼ばれているものです。

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平行移動の計算例

上図は横浜市における公共測量とGPS測量結果から「地域毎に適合した変換パラメータ」を求めたときのものです。変換方法は「平行移動」です。矢印は各公共基準点の誤差に相当する残差です。残差ベクトルの左回転がみられます。下図は「平行移動・回転」が変換パラメータになっていますので残差の回転ベクトルは消えています。標準偏差は0.226mから0.138mに改善されています。

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アフィン変換

ヘルマート変換の場合は回転および伸縮がxy方向とも同じものを扱っていましたが、アフィン変換においてはそれぞれxとy方向に異なったθx,θyおよびkx,kyを変換パラメータとして扱います。したがいまして、新旧座標の関係は次式の6パラメータとなります。

x=x0+kxx'-θyy',y=y0+kyy'+θyx'

新旧測量網の結合状態が最もよくなり、新旧座標差は最も小さくなります。なお、アフィン変換によれば、旧座標系の直交性を前提にしていないことから、この変換方法は理論的に誤りである、との意見を耳にしたことがあります。すでにご案内のように、旧座標の持つ誤差は直交性を保存した新座標へ変換するのですから問題ありません。

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Trans/LSCにおける座標変換方法の選択

Trans/LSCでは「座標変換」を選択すると「地域毎に適合した変換パラメータ」に対応する「ローカル変換」と「TKY2JGD変換」の選択場面がでます。

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そこで「ローカル変換(LSC)の実行」を選択すると「平行移動」などの座標変換方法を選択できるようになっています。

信号(残差)の

平行移動またはアフィン変換などを行い、新旧測量網の合致を行います。この場合、変換のための基準点においては残差が生じます。つまり新旧の座標差で、前述の図では黒矢印で示しました。LSCではこの黒矢印であらわされている残差を「誤差」のように扱うのでなく、「信号(Signal)」として扱い、周囲に配布します。
簡単な例で示しますと、下の図は「距離の逆数」および「距離の平方の逆数」を重みとして信号を配布したものです。LSCにおける重要な問題は「重み付け」にあり、通常は「共分散関数」を使います。前に示した画面は「平行移動をトレンド」として「信号」を配布する「最小2乗内挿」として設定してあります。

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マニュアル第37条運用基準では残差が10cm以内のものを採用するよう定められています。ここでいう残差が本当に信号として扱ってよいかどうかは「測量士」の判断になります。重要な判断です。

もう少し考察してみましょう。

下の図は回帰直線T=a+bDを最小2乗法できめたものです。変換パラメータはaとbになります。それでP点の内挿は次になります。

T0=a+bD0

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ところがP点近くのT4の残差v4は大きく内挿結果であるT0の値は問題がありそうです。LSCでは残差vを誤差扱いするのでなく、信号sとするのです。図の赤曲線がTの分布として扱われます。P点ではT0にs0を加えた値が、LSCで扱うP点における内挿値となります。信号sはv1,v2,v3,v4,v5からのDにより重み付けを行い平均した値になります。「マニュアル」第37条に定められた「重み付補間」による方法に似ています。LSCにおいてDの重み付けが重要な役割を果たします。LSCによる内挿結果は単なるアフィン変換の場合より正確です。実際のデータでも証明されています。

第5回 第3項

2010年7月29日

第3項 Trans/EDXとの組み合わせ

座標変換では「地域毎に適合した変換パラメータ」を求める「ローカル変換(LSC)」と「TKY2JGD変換」を選択できます。下の画面はTKY2JGDを選択して得られた座標変換結果の画面です。背景にはTKY2JGDの誤差判定指数(Trans/EDX)を表示してあります。東京都、川崎市、横浜市など国家基準点座標の不整合が大きい場所であることが色の濃さで分かるようになっています。赤色が最もTKY2JGDによる変換誤差が大きい場所です。図に示した黒矢印は、TKY2JGDによって得られた座標変換結果とGPS観測によって得られた座標との差を表しています。

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図に示したTKY2JGDによる座標変換誤差は、大きさの分布図として表すことができます。大きいところでは70cmを超える誤差がみられます。

第5回 第4項

2010年7月29日

第4項 Trans/LSC は、略式方式である !?

Trans/LSCは旧座標として日本測地系の公共座標(x,y)をそのまま使ってGPS測量結果などの新座標と比較して変換パラメータを求めています。これは正確でなく略式計算です。正確な計算は、日本測地系の公共座標(x,y)をいわゆる「世界測地系」へ変換した後に新座標と比較して変換パラメータを求めなければなりません。つまり、「標高」に「日本のジオイド96から求めた日本測地系のジオイド高」を加えて「日本測地系に準拠した楕円体高」を求め、世界測地系へ座標変換しなければなりません。

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旧法の基準面はジオイドでした。新法の基準面はGRS80楕円体面です。それらの間にはεだけ傾きがあります。いわゆる鉛直線偏差です。関東地方における鉛直線偏差はε=20″程度は普通です。略式方式は、上の左図に示すジオイド面のAはGRS80楕円体面のA0になります。ジオイド面とGRS80楕円体面は傾いていますので、右図に示しますように、高さによってA点はGRS80楕円体面で異なったP0またはQ0などの点に変換されます。PQ点の標高差が⊿Hとすれば、GRS80楕円体面上の差P0Q0=⊿Hsinεとなります。⊿H=100m、ε=20″とすれば、P0Q0=⊿Hsinε=100(m)×sin20″=1cmとなります。GPS観測の屋上点から地上点に取り付ける場合に、1cm程度の誤差が生じます。標高300mなら3cmの誤差をうみだすのです。

第5回 第5項

2010年7月29日

第5項 略式方式への補足とその言い訳 ?!

弊社のTrans/LSCは、こうした正確な処理を行っていません。何故か?お見苦しい言い訳とその補足をさせて頂きます。

  1. 弊社の開発日程の期限が迫っていた段階においても、改正測量法後における「日本のジオイド96」の扱いが不明確でした。それで、国土地理院を訪問し複数の部署へ訪ねました。「日本のジオイド96は必要である」との私の説明に対して、複数部署の方々にはその必要性を十分理解していただけたと確信しましたが、"「日本のジオイド2000」がでるので「日本のジオイド96」は不要になる"との回答もありました。
  2. マニュアル第37条運用基準では日本測地系から世界測地系への変換パラメータが明らかにされていないことから、正確な処理を想定していないことが分かりました。
  3. 以上のような状況の中で、弊社だけが極めて「正確」な処理だけを追求しても営業的に失敗する恐れが多分に感じられ、また、
    • 日本のジオイド96の入手が確実になるという保証がなかった。
    • 国土地理院の担当者でも十分理解が行き届かないなかで、お客さんに「日本のジオイド96」代金¥6000の負担をお願いすると混乱するおそれがあった。
    • また、弊社の営業担当者へ高度な技術的研修の負担が大きい。
    などの理由から、私は、マニュアル第37条に従った略式処理を選択することを決断し、そのような製品として開発されています。無論、正確な処理方法はTrans/LSCには内蔵されていますので、比較的簡単に正確な処理に切り替えられます。

      (文責:中根勝見)

第6回 第1項

2010年7月29日

第1項 プログラム検定に関わる、一部での混乱 !?


プログラム検定制度が、平成13年度から廃止されましたが
、そのことを知らないためか、一部の混乱とは言えないほどの情況が昨今の様です。日本測量協会(日測協)がプログラム検定を引き続き実施していることなどから、相変わらず「日測協のプログラム検定」が必要と思っている方が少なからずいるようです。一方、測量成果の検定制度は廃止されてないことから、成果検定時におけるプログラムの扱いが問題になります。
国土地理院の担当者に確かめたところ、以下が正確な新制度の運用です。「プログラム検定は廃止された。日測協は、プログラムは正しいとの前提で成果検定を行えばよい。」と言う内容です。日測協では「成果検定を受けるにあたって、メーカの自社プログラムの点検書を添付して欲しい」とのことです。弊社では「WingNeo」などに「電算プログラム自社点検証明書」を発行しますので、それを添付して成果検定を受ければ何ら全く問題がありません。
お客さんから、成果検定や機器検定料金に関する疑問も多くよせられます。「検定料金が高い」という不満もあるようです。
ここも国土地理院担当者に確かめたところ、"検定料金は日測協が独自に決めたもので国土地理院や官は関わっていない"ということです。現在、成果検定は日測協が独占していますが、複数の機関が成果検定に加わり検定内容が改善されれば、大幅に値下げになる可能性があります。昨年12月から日本測量機器工業会(日測工)が機器検定を行うようになってきていますし、日本地図センターが図面に関する成果検定を行う意志を示しているようです。

<計算簿の日測工仕様>
測量機器やソフトメーカなどで組織する「日本測量機器工業会(日測工)」ソフト部会は、新測量法対応の成果簿帳票関連の統一仕様を定め、国土地理院企画部にご指導を依頼し、実質の「公認」を得ました。日測工で決定した帳票を3月20日に日測協の検定責任者へ通知し統一をはかるよう要望しました。日測協責任者は、快く受け入れられたばかりか日測工の努力に感謝までされた、と聞いております。
ところが5月に入ると「公認」された「日測工仕様」と別な「仕様」の帳票が出回っていることを聞きました。何らかの手違いで、「公認」帳票と異なっものが出たようですが、問題視するような違いではないようです。どちらでもよいのですが、「日測工仕様:公認帳票」を使えば、まぎれがないと思います。

第6回 第2項

2010年7月29日

第2項 プログラム検定廃止の背景:課せられた企業努力


1995(平成7)年の作業規定第13条は、「作業機関は、計画機関が指定する機器及び計算に使用するプログラムについては、所定の検定をうけたものを使用しなければならない。」と定めていました。平成13年3月30日付け公共測量作業規定第13条は、「作業機関は、計画機関が指定する機器については、所定の検定をうけたものを使用しなければならない。」と改正されました。
1997(平成9)年、橋本―クリントンの日米首脳会談において、日本における「規制緩和」に関する合意がなされました。この合意により日本政府は、1998(平成10)年度から規制緩和推進3ヵ年計画を定めました。この計画に基づいて2001(平成13)年度から「プログラム検定制度」が廃止されたのです。利権と結びついた「規制」が、日本社会の発展を拒んでいることから、正し新しい社会を築くための規制緩和政策に基づいたものです。
私達の業界は「作業規定」や「検定」という制度の中で生きてきましたので、規制緩和のような新しい社会の変貌を理解できない傾向が、一部に残っているようです。そうした影響を受けて、「新測量法対応:日本測量協会検定第1号」などをセールスポイントにしているメーカがいます。弊社がそのような「時代錯誤第1号」を売り物にするようなら、私は止めるように強く社長に進言します。企業間の切磋琢磨や企業努力が求められているとき、逆行するようなことをすれば、そのような業界に対して国民は信頼を寄せることができなくなるのではないでしょうか。旧制度の利権を維持する勢力は当然存在しますが、私達がそれに迎合するようであれば瞬間的な利益にはつながるかもしれませんが、長期的な業界の活動には「負の遺産」として残ると思います。

第7回 第1項

2010年7月29日

第1項 はじめに


さてここで、規制緩和・情報公開時代の到来・実践の意味も込めて、弊社が開発した「Trans/LSC」に関する自社点検を公開したいと思います。

第7回 第2項

2010年7月29日

第2項 内挿モデルの決定とその数学モデル
 
座標変換は、既知点の新旧座標差を内挿して未知点の新座標を得るものです。こうした離散的データから連続的な分布を推定する手法はたくさんあります。目分量で等高線を描くのは最も直感的な方法です。TKY2JGDのグリッド化に使ったKriging法もその一つです。今回弊社では「最小2乗コロケーション」という方法を取り入れました(Moritz,1973、Mikhail,1976)。測地学では定番の手法で、日本のジオイド96における重力ジオイド高の長波長成分の修正に使われています(Fukuda他,1997)。数学モデルは、次式で表せます。
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ここに、Aは計画行列、xは未知パラメータベクトル、Lは観測値を含む定数ベクトル、sは信号ベクトル、nはノイズベクトルです。よく使う最小2乗法では、vを残差行列としてs+n=vで処理します。
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ここに、Pは観測値の重み行列、Cは共分散行列です。
結果は次式で表されます。
06-03-3.png
上の式を使えば、「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」21頁、第37条に定められたアフィン変換に対応可能になります。または、「平行移動」、「平行移動・回転」、「平行移動・回転・伸縮(ヘルマート)」などにも対応できます。ここでのアフィン変換などをトレンドとして下の式に示した信号sを各未知点に配分してより正確な座標変換を行うことができます。同第37条の「重み付補間」に近いものです。

第7回 第3項

2010年7月29日

第3項 プログラミングと計算結果の点検
 
上式を確認後、下記の手順でプログラミングを行いました。 

<相算による点検>

 上式を確認後、下図に示しますように2人によるそれぞれ独立した計算(相算)により計算結果の一致を確認します。なお、計算に使用したデータ群は、ご好意により(株)三和及び(社)神奈川県測量設計業協会横浜支部による実測結果を使わせていただいております。
06-04-1.png

 

<論理点検>

 計算結果はそれぞれの性質を満たしていなければなりません。
下にそれらの性質の幾つかをとりあげて列挙します。 

  1. 最小2乗法の原理により残差の合計はゼロになる。
  2. 2点間の距離は「平行移動」及び「平行移動・回転」において不変(invariant)量なので、新旧の2点間距離は等しい。
  3. ヘルマート変換による縮率は東京付近ではジオイド高と関係する。
  4. 各種座標変換結果のうちで未知数が一番の多い「アフィン変換」の標準偏差が最も小さくなる。次に「ヘルメルト変換」、「平行移動・回転」、「平行移動」の順に標準偏差が大きくなる。

計算結果がこうした性質を満たしていることを確認します。
 

第8回 第1項

2010年7月29日

第1項 はじめに


「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」は公共測量作業規定に基づいたものです。公共測量作業規定は標準的な指針を示したもので、よりよい手法があればそれを取り入れることができます。そのような定めにしたがって、より正確な座標変換結果が得られるように調査・研究を行って参りました。

第8回 第2項

2010年7月29日

第2項 座標変換結果の距離による点検精度管理表


「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」第37条運用基準3~4において「新旧距離の点検」が定められています。この点検に関する精度管理表記載例は示されていませんが、独自に精度管理表を作成してあります。
下の「Trans/LSC画面」は、配点図に示された座標変換後の残差の大きさをみながら、2点間の基準点位置をクリックするだけで、新旧距離の点検辺を選択できます。その結果は左の表に登録されます。 

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第8回 第3項

2010年7月29日

第3項 様々な座標変換に対応


「Trans/LSC」では様々な座標変換が可能です。下の画面は、平行移動・回転・伸縮をパラメータとしたヘルメルト変換を選びました。また、下の画面の「変換パラメータをトレンドとした最小2乗内挿を行う(L)」を選択することにより、ヘルメルト変換をトレンドとした「重み付け補間」相当にも対応し、よりきめ細かな座標変換を可能にしております。計算結果の点検は「相算」及び「論理点検」によっています。例えば、「変換パラメータをトレンドとした最小2乗内挿を行う」場合の結果は、トレンドだけの座標変換結果よりよくなることを川崎のデータで確かめてあります。

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なお、第37条解説「2.重み付け補間」による座標変換は、上図に示した3パラメータで日本測地系から世界測地系へ変換した後、行えばより正確な結果を得ることができます。

第8回 第4項

2010年7月29日

第4項 略式計算


前回の第5回でも述べましたように、日本測地系と世界測地系における座標の比較は、日本測地系座標のジオイド高及び標高を使い世界測地系へ座標変換しなければなりません。日本測地系座標は標高によって世界測地系座標が変わるのです(下図参照)。
例えば、鉛直線偏差ε=20″、標高300mとすれば、位置の誤差は3cmとなります。1000mの標高ならば10cmもの位置誤差が生じるのです。国土地理院技術研究発表会では「富士山の場合頂上と底部では32cmも異なる経緯度に対応する」と発表されています。(飛田,2002)
Trans/LSCではこうした正確な処理が可能となっています。上の画面の「3パラメータで変換後、変換パラメータを求める」がそれです。なお、3パラメータで変換する際、より正確に処理を行うためにはジオイド高が必要です。上から2番目のチェックボックス「日本のジオイド96を3パラメータの変換に用いる」はジオイド高を加えて計算を行うためのオプションです。しかし、日本のジオイド96の扱いに関する現状(詳細は第5回参照)を鑑み、現在は使用できないようになっています。

06-07-1.png(文責:中根勝見)

<< 参考文献 >>
moritz h. : least squares collocation, deutshe geodatische kommission,
reihe a: theoretische geodeasie heft nr.75,1973.
mihail e. m. : observations and least squares. dun donnelley, 1976.
fukuda y., kuroda y., takabatake y., itoh j. and murakami m.: improvement of jgeoid93 by the geoidal heights derived from gps/leveling survey, international association of geodesy symposia,117,segawa et al.(eds),gravity,geoid and marine geodesy ? spriger-verlag berlin heidelberg,pp.589-596,1997.
飛田幹男: 明治時代の測量を世界測地系の中で生かす精密座標変換、第31回国土地理院技術研究発表会、2002年6月.

第9回 第1項

2010年7月29日

第1項 はじめに


今回の中根技術顧問講座「新!よくわかる測地成果2000」は、最近の実践・実務の事例紹介と共に、そのソリューション・ツールソフトあり且つ、現在業界唯一・当社自信作のTrans/LSC の詳細をお伝えしたいと考えました。また同時に「何処が、高精度か!?」・「どう言う場面・仕事で、どう?LSCを利用したか!」も含めて、お送り致しますので、是非とも「測地成果2000座標変換」実務にご活用下さい。今後も、改正測量法をソリューションする!と言う業界のターニング・ポイントとも言えるこの難問に、正面から取り組むアイサンテクノロジーにご期待下さい。

第9回 第2項

2010年7月30日

第2項 運用実例の手前事例


施行後半年経過し、全国的に座標変換の実務へのご質問・アドバイス依頼等、様々なお問い合わせも日増しに多くなり、悲鳴も上がる現状ですが、今回その最も象徴的な事例をご紹介させて頂きます。以下の実話は、「Trans/LSC」の導入を検討されている測量会社からの質問を、弊社の担当営業マンが直接、私(中根)へメールしての「場面」を抜粋していますが、地名・社名・固有名詞を除き、極力「原文」を忠実に再現してご紹介します。
 

場面-1

中根 技術顧問 様
某K市で、360点ほど(1級基準点)の座標変換をTKY2JGDで行ったが、
精度がよくなかった為、困っているそうです。特に海岸線付近の多くは、
「3パラメータ」変換だった様です。
その後当社HPを見てTrans/LSCを使用して再度座標変換をすることを検討中!
との事から、以下の質問やアドバイスが求められています。
「LSCで変換を行うと、どうなるの?」
「地域毎のパラメータを作成&座標変換を行うと以前より精度があがるのか?」
「行政へ再測を促すツールは、有るのか?」

等、Trans/LSC導入検討中の測量会社からの質問です。

  • Trans/LSCは座標変換マニュアル第35条運用基準に定められているように、3,4級基準点または境界点の座標変換に使われるツールです。
  • そのための変換基準点として、国家三角点または1,2級基準点が使われます。
  • 1,2級基準点の座標変換は、マニュアル第3節改算又は第4節改測によるとあります。
  • 国土地理院のHPによると某K市の場合、1級基準点363点は、1989年に大手航測さんによって測量された様です。これら363点は上記第3節改算又は第4節改測により、新座標を得ることになります。座標変換ツールとして、当社「WiんgNeo」等が用意されています。
  • 国土地理院は、改算・改測に比べて、TKY2JGDは精度が悪いと公式に発表しています。
  • 私見では、TKY2JGDで上記1級基準点の座標変換を行う計画は、測量の素人のすることです。
  • 363点の改算は、大手航測が測量した光波測距儀のデータを使い当社「WingNeo」で処理できます。その場合、何割かの点をGPS測量により新座標を求めた方がよいと思いますが、GPS実測の割合は予算や測量会社さんの判断の問題で、対象地区の事情にもよります。
  • 以上のように、Trans/LSCは3,4級などの座標変換のツールで、1,2級用の座標変換ツールではありません。1,2級用座標変換ツールは「WingNeo」です。

 

場面-2

 

  1. Trans/LSCにて変換するには、実際には何点くらい、どのような位置の「変換基準点」の「観測新座標」を取得すれば、よいでしょうか?
  2. 変換対象となる旧座標の「親」となる三角点(もしくは都市基準点)を参照して、ブロック分けを行い観測してくるものなのでしょうか?、ブロック分けせずに、一括で変換してもいいものでしょうか?
  • 座標変換マニュアル第37条運用基準では「変換基準点」は3点以上と定められています。Trans/LSCを使った計算例では可能な限り多い方がよい結果を得ています。
  • 変換対象となる旧座標の「親」となる三角点(もしくは都市基準点)を知る必要があります。おなじ「親」の座標群ごとにブロック分けするのがよいと思われます。都市基準点が改測されている場合もあるので、観測年度も調べる必要があるかと思います。
  • ただ、ブロック分けするかどうかの問題は、測量会社の判断の問題です。私達のツールは、どのようにでも対応可能になっています。例えば、旧平均網図を参照しながら、測量年度毎にブロック分けすればよい結果が得られます。Trans/LSCはこうした処理を簡単にできるようなツールです。

 

場面-3

 

 

横浜市の方で、実際に変換作業をおこなったとの事ですが?
質問事項の「変換対象となる旧座標の「親」となる三角点(もしくは都市基準点)を参照して・・・」のように、ブロック分けを行ったのでしょうか?
  • 横浜市は1,2級基準点の座標変換を光波測距儀による旧観測値を使って改算しました。3,4級及び境界点の座標変換は14年度と15年度にかけて処理します。その手法は、座標変換マニュアル第37条による方法のようですが、その詳細は現在のところ不明です。

場面-4

また、測量会社様が気にされる事項として、その数値が正しいか?保障されるのか?です。
つまり、以前は測量機械・ソフトの検定があったのでよかったのですが、自主検定に変わった為、そのソフトを使用してできた成果の「正しい?」根拠はどうなるのか?ですが・・・横浜市の場合、どのようにしたのでしょうか?お教え下さい。
  • 横浜市の1,2級基準点の改算は日本測量協会が行ったものなので、日本測量協会自身で検定したものと思います。ただし、3,4級及び境界点の座標変換はまだですので、現在の処、詳細は分かりません。
  • 1,2級基準点の改算ツールであるWingNeoは国土地理院が示した計算例に基づいて自社点検したものなので、ご安心してお使い下さい。
    Trans/LSCについては「論理点検」「実計算点検」など様々な角度から自社点検を行ったものです。計算処理に関するところは当社の責任ですから、弊社のツールに関して、測量会社さまは、ご心配無用です。
    なお、測量の原則的問題ですが、座標変換した結果は何らかの方法で点検が必要です。例えば、計算による座標変換点を抽出してGPS測量などの実測により点検するものと思われます。Trans/LSCはこうした点検結果を簡単に精度評価できるツールとして開発されています。

第9回 第3項

2010年7月30日

第3項 高精度 座標変換ツールTrans/LSC

本製品のコンセプト
  • 高精度座標変換
  • 住民の土地財産権の保護
  • 扱い易さ(画面処理)
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日本の国家基準点のシステムが1世紀ぶりに改正されました。
本年度から改正測量法が施行されました。
過去100年余り蓄積してきた測量のデータを新しいシステムである「世界測地系」へ移行させ、利活用する必要があります。
最も手軽な世界測地系への移行は、国土地理院のつくった「TKY2JGD」を使うことであると思います。TKY2JGDは日本全国を対象としたもので、それぞれの地域の事情に合わせた変換をしない場合があります。TKY2JGDの使用の判定を選択する基準を与えるツールが、弊社開発の「Trans/EDX」です。TKY2JGDが使えない場合は、国土地理院が定めた「座標変換マニュアル」により、公共基準点などの座標変換に関する対処方法が定められています。その対処方法は、
 
①古いデータを使って世界測地系で改めて計算し直す(改算)。
②古いデータがないときは新しい方法で測量する(改測)。
③その局所地域に適合した変換パラメータをつくって座標変換を行う。
 
などがあります。①及び②は、公共基準点の骨格にあたる1,2級基準点に適用するのが適当であると思います。③は3,4級基準点や境界点など点数が多い場合、一挙に効率的座標変換が可能になり、効率的です。

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高精度座標変換ツール「Trans/LSC」は3,4級基準点又は境界点などを高精度で座標変換するツールです。
次ページよりその説明を行います。

第9回 第4項

2010年7月30日

第4項 高精度変換


国土地理院の座標変換マニュアル第37条運用基準に「アフィン変換」と「重み付補間」の二つの座標変換方法が定められています。弊社開発のLSC座標変換方法は、これら二つの手法を組み合わせたもので、マニュアル手法より高精度の座標変換が可能となります。
川崎市の例をもとに各種の座標変換を行い標準偏差で変換精度を調べました。下図における未知点の誤差(矢印)は、変換パラメータによる補間計算結果とGPSによる検測値との差です。
マニュアルに定められた「重み付補間」変換精度は標準偏差で表し、33mmです。弊社開発LSC変換の標準偏差は16mmです。

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マニュアル方式「重み付補間」 標準偏差 = 33mm
マニュアル方式「アフィン変換」 標準偏差 = 23mm
弊社「LSC変換」 標準偏差 = 16mm

第9回 第5項

2010年7月30日

第5項 最小バイアス変換


境界点などの座標変換では、住民の土地財産権を保存するため、旧座標の相対関係が保存されることが絶対条件です。それには、旧網図にしたがった「最小バイアス変換」が必要になります。この「最小バイアス変換」は弊社の理論活動の成果であり、住民の土地財産権が保存されたまま、正確な世界測地系への移行が可能になります。
最小バイアスについて昔の三等三角測量の例を示します。三等三角測量は全国を約1000ブロックに分けて処理されています。各ブロックは「部号」と呼ばれ、部号と部号の接合部は不整合を生じやすくなっています。図に示す部号Aと部号Bはそれぞれ異なったバイアスをもっていますので、場合により2つの部号間で大きな座標の不整合を生じることがあるのです。
したがいまして、部号Aに属するP点から部号Bに属するQ点まで多角測量を行った場合、大きな閉合差を生じることがあるのです。事情を心得た測量士は"異なった部号の三角点を既知点として選ばないようにしています。

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バイアスが部号毎に異なった場合がありますから、座標変換を行う場合、部号A及びBを同一の変換パラメータで処理すると座標変換精度を悪くする場合があります。したがいまして、同一部号毎に変換パラメータを求めて座標変換を行うことが最も正確な結果を得ることができるのです。もともと、網平均結果から得られた座標は「バイアス(偏り)を持った推定値」です(Bossler, 1973 :A note on the meaning of generalized inverse solution in Geodesy. J. Geophys. Res. 78,pp.2616)。同一部号で座標変換処理をすることは「最小バイアス変換」になり、理論的に高精度座標変換結果を導きだすことができるのです。私はこうした方法を「最小バイアス法」と名づけました。こうした理論は、地籍測量の年度別区割りまたは公共測量のブロック別区割りなどに応用できます。さらに厳密には、地籍測量または公共測量などにおいて、旧測量網図の既知点関係を調べ、路線毎に座標変換を行う処理を行うことができます。
Trans/LSCにおいて、画面の配点図から「最小バイアス」のデータは、画面上の配点図をマウスで「範囲選択」することにより得られます。
 
<論理矛盾?>
「旧座標の不整合が大きいから整合のよい新座標にする」ということと「旧座標の位置関係を保存したまま新座標に変換する」ということは論理矛盾のように感じます。旧座標は広域的にみると不整合が大きい場合があるのですが、住民の所有する狭い領域では十分な精度を保っています。広い地域の誤差は、狭い地域には分配されて無視できる誤差範囲になります。測量の性質です。

第9回 第6項

2010年7月30日

第6項 全て画面処理により使い勝手がよい
 
ⅰ 座標入力
 
画面左上の「座標入出力」をクリックすると予め用意した「座標ファイル」が表示されます。入力形式「*sim」などを選び必要な入力ファイルを選んで「開く」をクリックすれば、座標の入力ができます。

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入力データは画面上に配点されます。日本測地系と世界測地系の座標がある変換基準点は▲で表示され、未知点は○で表示されます。左画面に数値表が表示されます。この例は、▲が1,2級基準点、○が3級基準点です。

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第9回 第7項

2010年7月30日

第7項 全て画面処理により使い勝手がよい
 
ⅱ 座標変換方法の選択
 
左上の「座標変換」から「ローカル変換」を選択すると変換区分画面が現われます。その中から「平行移動」など選択し「OK」をクリックします。また、「変換パラメータをトレンドとした最小2乗内挿」を選択すれば「LSC変換」が行われます。

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下の画面では、平行移動による変換パラメータを計算した結果の各変換基準点の残差が表示されます。画面の左上で残差の「許容範囲」をクリックすると、許容範囲を数値で指定する画面が現われます。この場合は100mmを選んでありますのでそれを超える値の残差は「赤」で表示されます。画面左の表でも残差が100mmを超える点は「赤字」で表示されます。

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第9回 第8項

2010年7月30日

第8項 全て画面処理により使い勝手がよい
 
ⅲ 基準点の選択と変換方法の選択
 
画面のNo304基準点の残差が大きいので、計算から除外します。左画面の表にあるNo304を「右クリック」すると「計算に使用しない」などの選択画面が現われます。その場所を「クリック」すれば、No304の基準点は既知点から除外されます。

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下の画面左上の「座標変換」から「座標変換の実行」を行い、「標準偏差」を選択すると、各変換の標準偏差が表示され、変換方法の選択をする判定基準に使えます。

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第9回 第9項

2010年7月30日

第9項 全て画面処理により使い勝手がよい
 
ⅳ 基準点の選択と変換方法の選択
 
「座標変換の実行」を行い「変換パラメータの確認」を選択すると、計算された変換パラメータが表示され、変換結果の判断材料になります。

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画面右上の「変換精度グラフ」を選択すると、各変換基準点の残差が座標上で表示されます。設定した許容範囲を超える点は円外に赤表示されます。

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第9回 第10項

2010年7月30日

第10項 全て画面処理により使い勝手がよい
 
ⅴ 未知点の点検
 
得られた変換パラメータから計算された未知点の座標は、未知点において点検のためGPS観測で得た世界測地系座標から精度評価を行うことができます。つまり、「変換誤差=計算座標-GPS観測座標」とするのです。下の画面は「アフィン変換をトレンド」としたLSC変換結果です。平均標準偏差は16mmです。

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下の図は「アフィン変換」から得られた未知点の座標の精度です。平均標準偏差は23mmで、LSC変換結果より劣ります。しかし、最初の画面に示しました「重み付補間」結果の標準偏差33mmより優れた結果になっています。

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第10回 第1項

2010年7月30日

第1項 TKY2JGDの有効活用ツール「Trans/EDX」


明治以来蓄積された膨大な旧日本測地系の測量データを、座標変換し活用するためには、その道具(座標変換ツール)が必要です。国土地理院の座標変換プログラム「TKY2JGD」が、最も有力なツールといえますが、有力なものですから、その内容をよく把握して正確に使う必要があると思います。本講座第2回から第4回まで3回連続「TKY2JGD講座」を掲載しました。
弊社では、早い段階から調査研究を進め、TKY2JGD関連ツールとして「Trans/EDX」や「Trans/T2J」を開発・発売をしました。「T2J」は「TKY2JGD」を3文字に縮めたもので「TKY2JGD」の機能に加え、精度管理など「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル」に対応できるものです。今回は、地理院のTKY2JGD、弊社 「Trans/T2J」を有効に使うための道具であります、弊社開発製品「Trans/EDX」について説明したいと思います。なお、EDXは弊社が独自に名づけたError Index(誤差指数)の略語です。

第10回 第2項

2010年7月30日

第2項 町役場はTKY2JGDを使うというが、誤差が大きい。


某県××町のお客さんから、地籍図根点の座標変換に関する質問が、弊社に寄せられました。その後事務所を訪問して詳細を聞きました。

図根三角点の座標変換方法について町役場の担当者は、"国土地理院がTKY2JGDで座標変換できると言っているのだから、経費の安いその方法で行う。"と言っている。
 
今後のGIS計画などを見通すと、TKY2JGDによる座標変換では不安を感じたので、4地区のうち1地区の四等三角点をGPS観測で点検した。座標誤差は10~20cmも生じた。
 
他の3地区も同様に四等三角点の座標誤差は大きいと推定できるが、それを証明するのには実測しなければならないか。

 

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▲図1××町のゆがみ(角度誤差)

<中根の意見>
弊社ではTKY2JGDによる座標変換誤差を推定する「Trans/EDX」を開発しました。上図の青○が××町の様子です。色付の地域におけるTKY2JGDによる基準点の座標変換には慎重な検討が必要になります。黄色や赤に塗られた地域(赤○)におけるTKY2JGDによる基準点の座標変換は避けた方がよいと思います。こうした資料も添えて役場の担当者へ提案されるとよいのではないでしょうか。実測するまでもなく、他の3地区における四等三角点のTKY2JGDによる座標変換結果は、10cm程度の誤差を避けられないと思います。

第10回 第3項

2010年7月30日

第3項 四等三角点座標の信頼度


四等三角点座標の信頼度については、弊社HP「測地成果2000Q&A」のQ99に下記の様に記しています。
 
事前調査の実施
新測量法制定の大きな目的は、「正確な基準点の構築」にあるわけです。したがいまして上に示しましたように、四等三角点を既知点として使う場合、慎重な検討が必要になるでしょう。役場の担当者にこうした事実を示し、他の3地区の四等三角点の座標の点検を行う「事前調査」を提案したらいかがでしょうか。この事前調査結果に基づいて図根三角点の座標変換計画をつくることをお勧めします。

第10回 第4項

2010年7月30日

第4項 「Trans/EDX」ってなんですか?


下の図をご覧下さい。色のついた地域では、TKY2JGDによる座標変換結果に「注意しましょうよ」というものです。「イエロー」から「レッド」と注意の度合いがきつくなります。

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▲図2 関東地方におけるTKY2JGDの座標変換結果のゆがみ

  • 改算域のドーナツ現象
    東京都は平成3年に改算を行いました。南隣の川崎市は平成2年に改算を行っていますので、東京と川崎の座標に数10cmの食い違いがあります。大きいところでは70cmにも及びます。TKY2JGDは、そうした事情にはお構いなく座標変換しますので、こうした境界地域では大きな座標変換誤差となって現われます。同様な地域は、神戸地震で改測した地域の境界でも生じています。ある方は「ドーナツ現象」と述べておりました。

  • 地震域
    図で示された伊豆半島は「レッドカード」が突きつけられています。地震により旧座標が大きくゆがんでいるためです。

  • 改算域
    房総半島付け根でも「レッドカード」が突きつけられています。1923年関東地震時に改測せず改算で処理した地域です。

  • 常磐炭鉱
    常磐炭鉱の地盤変動は大きかったので改測および改算を行いましたが、まだ若干地盤変動の影響が残っているようです。

  • その他
    東京から大宮経由高崎付近まで線状の「色付」地帯があります。原因は明確に特定できません。

いずれにしてもTrans/EDXに示された「色付」地域におけるTKY2JGDの座標変換結果にはゆがみが生じます。こうした地域でTKY2JGDを使う場合よほど注意が必要です。
このことはTKY2JGD開発者自身が一番よく心得ているところです。例えば、2002年6月4日の国土地理院第31回技術研究発表会において、TKY2JGDを開発した飛田さんは「世界測地系への基本は再整備・再測量である」と明快に事の本質を述べております。行政全体の実行段階になると、TKY2JGDが一人歩きして、開発者の意図が忘れられているなんてことがないよう警戒しなければならないと思います。

第10回 第5項

2010年7月30日

第5項 Trans/EDXの仕組み


TKY2JGDは、「地域毎の変換パラメータ」と「3変換パラメータ」よる二つの変換方法をもっています。
 
地域毎のパラメータ
約38000点の国家三角点の新旧座標差から内挿により座標変換を行うものです。下の図は国家三角点から約1km×1kmの格子上の地域パラを内挿する様子を示しています。

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▲図3 クリギング法による格子化

最初にも述べましたように、変換された座標の標準偏差は南北9cmおよび東西8cmと報告されています。座標変換された結果の約5割が10m程度の誤差範囲にあることになります。変換誤差20cmを超えるものは約6%となります。私は、図2に示したレッドゾーンで、座標変換誤差最大70cmを確認しております。TKY2JGDによる座標変換誤差が1m程度生じるところもあるようです。
 
3パラメータ
東京の原点における並行移動(⊿X,⊿Y,⊿Z)の3パラメータを使って座標変換するものです。変換された座標は原点から遠ざかるに従い誤差が大きくなります。

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▲図4 原点の1点固定による3パラメータ座標変換

地域毎のパラメータによる座標変換の場合、座標変換誤差が大きいところでは、正方形や円などがゆがんだ図形になります。
しかし、3パラメータによる座標変換の場合、固定した原点から遠くの位置では座標変換誤差は大きくなりますが、変換による図形のゆがみはほとんどありません。正方形は正方形に、円は円に変換されるのです。

第10回 第6項

2010年7月30日

第6項 Trans/EDXが示す「ゆがみ」


繰り返しますが、3パラメータによる座標変換は原点から遠ざかるに従い誤差が大きくなりますが、1km×1km程度の小範囲では図形はゆがみません。一方、格子点毎の地域毎のパラメータは異なった誤差をもっていますので1km×1kmの図形はゆがんで座標変換されます。
 
3パラメータによるゆがみのない1km×1kmの図形を基準にして、ゆがみをもった地域パラの図形の「ゆがみ度」を定量的にあらわしました。そのゆがみ度は公共測量作業規定に定められた観測値の誤差の許容範囲と結びつけられています。したがいまして、Trans/EDXに示された値を使えば、座標変換精度を数量的に見当をつけることができます。具体的には「角度誤差」と「面積誤差」であらわしています。弊社の「特許」であります。
 
計算例
下の図はTKY2JGDにより計算した結果です。3パラメータによる変換結果は、図形はゆがみませんが、基準面が準拠楕円体面になった分若干縮小しています。一方、地域毎のパラメータによる変換結果はゆがんでいます。

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▲図5 3パラメータと地域毎パラメータの計算例

こうしたゆがみ具合や面積の変化を「角度誤差」と「面積変化率」として定量化し、それらを色づけしました。
 
弾性論の適用
図形が変位したために図形はゆがみます。変位は、『変位=平行移動+微小回転+ゆがみ』として表せます。このなかの「ゆがみ」から、「面積変化率」と「角度誤差」の二つの物理量を取り出します。これら二つの物理量は座標系に対して「不変」な量なので、信頼度の高い物理量として扱えます。面積変化率を図6に示しました。赤色は面積が増えた地域、青色は面積が縮小した地域です。
この地域で青色地域が多いのは、太平洋プレートなどにより関東南部が陸地に押し込まれた結果と推定できます。伊豆半島の赤色地域は火山の影響などで地殻が膨張隆起した結果と推定できます。いずれも国家基準点座標の不整合の様子を示したものです。

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▲TKY2JGDの座標変換に伴う面積変化率
Trans/EDX画面より、数値はppm

第10回 第7項

2010年7月30日

第7項 1次メッシュ単位販売と行政界の背景データ


以上よりおわかりの様に、Trans/EDXとは他のTransと異なり計算ソフトでなく、「角度誤差」と「面積変化率」の解析済みデータとして提供していまして、お求め易い1次メッシュ単位の価格(価格:3万円)で販売しております。
尚、この解析データは、弊社開発のTransシリーズ「T2J」「LSC」ソフトウエアにて「MAP」表示ができます、またこのMAPの更にその背景には、インターネットの電子政府サイトから行政界データをダウンロードしての重ね表示も出来ますので、今回の「地籍図根点の座標変換」ご相談においても、有効なツールとしてご理解頂きました。是非共座標変換の事前調査等にご活用下さい。

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▲図7「Trans/EDX」1次メッシュ<本州分>

取締役(技術顧問) 中根勝見

第11回 第1項

2010年7月30日

第1項 はじめに


2002年の新年から再開した本講座も今回で最終回となりました。「Q&A」とあわせてご覧いただき、ありがとうございました。本年4月に改正測量法が施行され、本講座の初期の目的を達したように思い、2002年12月の今回をもっておわりにしたいと思いますが、最終回にあたっては、測量業界の変化を技術的側面から再考察してみたいと思います。

第11回 第2項

2010年7月30日

第2項 業界に朗報:測量法改正と電子基準点のデータ公開


昨年改正測量法が成立し、本年度から施行に移されました。その結果、測量の位置決めが単純化され、極端な言い方をすれば素人でも正確な位置を求められるようになったことです。さらに、国土地理院は今年度から電子基準点のデータを公開するようになり、測量法の改正と併せ相乗的に位置決めが容易になりました。国土地理院が連続して我が業界に二つの大きな贈り物を届けてくれた感じです。この贈り物を有効活用するかどうかは、私達の力量にかかっていると思います。変化の大きい時代にあって、変化の先取りを確実にして行くひとつの動きを考察してみたいと思います。

第11回 第3項

2010年7月30日

第3項 測量法改正の真の意味

改正測量法では、"楕円体がベッセルからGRS80に変わった""距離や面積の基準面がGRS80楕円体面に変わった"などいろいろあります。最大の利益は基準面が統一したことではないでしょうか。図をご覧下さい。旧測量法の複雑な基準面の関係です。

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旧測量法における処理は次のようになります(面倒な方は読み飛ばしてください)。 
 

  • 角度は生観測値を使ったので、ジオイド面が基準面でした。距離も同様にジオイド面に投影され、そこが基準面でした。
  • GPS観測が終わった後基線解析を行います。上図に示した「旧法水平面/ベッセル」の日本測地系座標を「TKY2WGS」座標変換プログラムによって「WGS84/WGS84」の座標に変換しました。
  • ここで得られた基線ベクトルは「日本測地系/ベッセル」で処理され、そこで得られた座標は「旧法水平面/ベッセル」の値として扱われました。
  • 電子基準点座標は「ITRF/GRS80」の座標で扱われていましたので、何らかの方法で日本測地系座標に変換されなければなりませんでした。

上の説明を正確に理解できる測量士は非常に高水準な方でしょう。国土地理院の公式文書でも混乱がみられたほど複雑なものです。もしかすると、上記の私の記述も正確でないかもしれません。それほど複雑であったのです。
 
測量法の改正によって全ての基準面が「ITRF94/GRS80」に統一されたのです。この結果、GPS測量が極めて簡単になりました。例えば、基線解析の座標は三角点の座標をそのまま使えるようになったのです。旧法時代のように「TKY2WGS」による座標変換が不要になりました。こんな素晴らしくなったシステムを見逃す手はありません。大いに活用したいものです。

第11回 第4項

2010年7月30日

第4項 電子基準点データの公開


国土地理院は電子基準点データを公開しました。こんな素晴らしい贈り物を見逃す手はありません。下の図が公開地域です。

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測量法の改正に伴う基準面の統一および電子基準点データの公開によって、GPS測量が極めて身近な道具(ツール)になりました。

第11回 第5項

2010年7月30日

第5項 電子基準点データの民間会社への配信


電子基準点の公開されたデータは、日本測量協会を通じて「日本GPSデータサービス」と「ジェノバ」の2社に配信されています。弊社は、「日本GPSデータサービス」に資本参加し、ビジネスアライアンスの合意に達しました。内容は最終頁参照を下さい。

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第11回 第6項

2010年7月30日

第6項 日本GPSデータサービス社から、更に利活用できるデータ配信


弊社が資本参加した日本GPSデータサービスは、電子基準点データを1秒間隔、1時間区切りで配信し、VRS(仮想基準点)のデータも配信します。主なサービスは、

  • RTK-GPSリアルタイム配信 (測量、構造物監視、防災など高精度測位ユーザ様対象)
    最新のVRS技術による仮想基準点リアルタイムデータの携帯電話による配信サービス

  • D-GPSリアルタイム配信(GIS用途、移動体管理など広範なユーザ様を対象)
    最新のVRS技術によるD-GPS用補正データの携帯電話によるリアルタイム配信サービス

  • データダウンロードサービス(静止測量・後処理用のデータをWeb経由で提供)

以上が、現状提供するサービス概要です。実は弊社では、2年前から既にVRSの利活用(公共基準点を使わず地積測量図等の座標づけ等)を研究して来ました。詳しくは、次頁以降でご紹介しますが、こうした姿勢・成果が評価され、業務提携まで進んだものと理解しているところです。

第11回 第7項

2010年7月30日

第7項 電子基準点の密度不足の解消

 
電子基準点が全国に1200点配点されたとしても、その間隔は20km程度でしかありません。公共測量作業規程では、スタティック測量の場合、電子基準点から10kmを超える測定の場合には2周波受信機が必要になります。RTK測量の場合も間接測量では、観測点は電子基準点から10km以内です。現在の電子基準点密度では、十分とは言えません。

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そこで、下図に示すように、仮想的な電子基準点をつくるというのがVirtual Reference Station(VRS):「仮想基準点」です。いつでもどこでも身近に仮想的な電子基準点をつくれるのです。原理はともかく、利用者にとっては極めて簡単に正確な位置を獲得できることになったのです。

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こうした素晴らしいシステムを社会のために活用する方法を考えていきたいと思います。

第11回 第8項

2010年7月30日

第8項 地積測量図の座標づけ


土地家屋調査士の先生方の大きな仕事は正確な地積測量図をつくることであると思います。正確な地積測量図があったとしても現地に正確に復元できるとは限りません。そこで、地積測量図の"公共座標づけ"という構想がでてきています(法務省古畑泰雄補佐、土地家屋調査士第518号、2003年3月)。そこでの構想は、公共測量の実施が前提になっています。現実には公共測量の実施は多大な経費を要します。今回の国土地理院からの二つの贈り物(測量法の改正と電子基準点データの公開)は、公共測量基準点が実施されていない地域においても地積測量図の座標づけを極めて容易にしました。

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上図はアイサンテクノロジーHPの2000年12月号に掲載された講座内容の一部です。電子基準点から直接境界点の座標を正確に求められます。公共基準点の必要なく、地積測量図の座標づけができるのです。こうした座標づけされた地積測量図を寄せ集めジグゾーパズルのようにある地域が埋まれば、地籍測量にも使えるという構想にもつながります(平成12年度版国土庁パンフレット「地籍で進めるまちづくり」"土地異動情報追跡型地籍調査事業")。
いずれの場合も「基準点の設置」と「座標づけ」がキーワードであったわけですが、そのうち「基準点設置」の手間が解消されたことになります。

第11回 第9項

2010年7月30日

第9項 各種測量機器の特徴


電子基準点を既知点にして、島部を除く日本国内ならどこでも正確な世界測地系座標をGPS測量によって得ることができます。従来の距離や角度による測量ではできなかったことです。一方、100m程度の2点間の距離測定においてGPS測量は、従来の距離や角度の測定精度に及ばないのです。GPS、トータルステーション、テープなどの測量機器による特徴を考察して見ましょう。
 
ⅰ GPS測量の特徴
 
GPS測量における2点間の距離の標準偏差は1cm
GPS測量の誤差については公共測量作業規程第41条運用基準「重複する基線ベクトルの各成分の較差」の許容範囲は「20mm」とされています。おおまかに水平距離に換算すると、√2×20=28mmとなり、さらにおおまかに2点間の距離の標準偏差を計算すると「1cm」程度になります。土屋・辻著「新訂版やさしいGPS測量」374頁には"標準偏差は10km程度までの基線なら1cm前後以内となる"と記されています。こうしたことを根拠とすれば、10km以内の狭い範囲ならば、GPS測量による2点間の距離の標準偏差は1cm程度と見積もれます。
 
GPS測量による大きな誤差の出現に注意!
標準偏差は1cmとしてもその3倍程度の誤差が出現する場合もあるのです。原因ははっきりしないのですが、5cm程度の誤差が出現する場合もあるのです。だから、GPS測量結果を全面的に信頼してはならないのです。
 
GPS測量誤差の解消方法
GPS測量では、2点間の距離誤差として1cmの誤差は受け入れなければなりません。ところがGPS測量の特徴として"1km程度なら誤差は2点間の距離にほとんど関係しない"ことです。したがいまして、2点間の距離が長ければ誤差が細かく配分され、狭い範囲の誤差は極めて小さくなります。2点間が1kmであれば100mの距離に配分される誤差は10mm/√10=3.2mmになります。
 
GPSの地積測量図座標づけにおける役割
こうしたGPS測量の特徴を考え、GPS測量は骨格の位置(座標)を決めることに限定すればよいのです。別な言葉で言えば、GPS測量結果を"公共基準点"代わりに使えばよいということになります。

 

第11回 第10項

2010年7月30日

第10項 各種測量機器の特徴
 
ⅱ トータルステーション(TS)の特徴
 
TSによる100mの距離測定誤差は4.2mm、50mでは3.4mm
 
公共測量作業規程第42条運用基準は、距離の誤差eを次式のように定めています。

e=0.010(m)+5X10-6S(m) Sは観測距離

この数値はかなり古い時代のデータが根拠になっているようです。そこで、私(*)はこの式を見直し、次式を得ました。比較的最近のデータに基づくもので、標本数560の環閉合差から求めたものです。

e=0.0026(m)+15.9×10-6S(m) Sは観測距離

この式により得られる2点間100mの距離測定誤差は4.2mmです。100mの距離をGPS測量で測定するよりTSで測量する方が正確であることがお分かりいただけることと思います。また、TSによる場合、GPSと異なりとてつもなくおかしなデータはありません。比較的安定した距離測定結果が得られるのです。100m以内の距離測定は、GPSよりTS機器をお勧めしたい感じです。
(*)中根勝見(2001):測地測量における地上観測値の誤差モデルとそのパラメータの決定、写真とリモートセンシング、Vol.40,No.6.
 
鋼巻尺による50mの距離測定誤差は2mm
昭和60年版の公共測量作業規程では鋼巻尺による距離測定が定められていました。50m基線場において5回測定を1セットとした検定において、2セット間の格差の許容範囲は1.5mm以内と定めていました。10~20mのような短距離の場合、鋼巻尺による測定が最も確かではないでしょうか。
下の図は、各種測量機器による誤差と測定距離の関係を示したものです。こうした測量機器の特徴を見定めた上で地積測量図の座標づけを行いたいものです。結論的に言えば、

 

  1. 座標はGPS観測から求める
  2. 短距離はTSまたは鋼巻尺により求める。

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