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よくわかる測地成果2000

第5回 第6項

2010年7月29日

第6項 まとめ
 
アメリカでは、地表面水平距離と基準面距離の割合を「標高係数」および楕円体面と平面の距離の割合を「縮尺係数」と呼んでいます。2つをひっくるめて「合同係数」というように呼んでいます。地籍測量における「放射法による細部図根測量」では、この合同係数の計算は行われていません。土地家屋調査士の方々の測量においても同様に、この合同係数の補正は省略されていると思います。なお、縮尺係数は「s/S(エスバイエス)」とも呼ばれています。

 

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地籍測量における土地の面積は、平面上のものが使われます。測量法第11条の定義によれば、「距離及び面積は水平面上の値で表示」となっています。上の図のA点付近における平面上の面積は、水平ではありません。また原点付近とB点付近においては、平面距離と基準面距離は1万分の2違います。面積にすれば、1万分の4異なります。原点付近の土地所有者は、1万分の2だけ小さく登記しています。買い手は得をしますが、売り手は損します。B点付近は逆です。A点の地主とB点の地主が等面積交換した場合、損はAかBか?
現在はこうした誤差については一切無視し、土地の面積表示を行っています。最初に「測地成果2000の面積表示で日本の面積が100万坪減少する」と述べました。この誤差は10万分の1ですから、楕円体面を平面として扱った誤差の20分の1程度で極めて小さいものです。最初に「お遊びの話」と言ったことがご理解いただけるものと思います。
原点付近上の標高1000mにおけるダムの堤防の長さ100mを平面座標と比較してみましょう。標高係数は、0。999843です。縮尺係数は0.9999なので合同係数は0.999743になり、平面距離は99.974mになります。この場合約3cm異なり、決して無視できない量です。土木測量において平面直角座標系を使って処理する場合、十分な注意が必要です。
今回のお話は,地積測量における「座標づけ」の知識に欠かせない内容のうち、極めて初歩的なものだけを取り上げました。地籍測量の「基準点測量作業規程準則」または土地家屋調査士用の「調査・測量実施要領II(技術基準)」などは、電子計算機がなかった手計算時代の水準を色濃く残したままのものです。電子計算機が普及した現在、これらの規程は現代的なものになるよう大幅な改定が必要なのではないでしょうか。測地成果2000はその絶好の機会と言えるのではないでしょうか。

 

 

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