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アイサンテクノロジーからのお知らせ

去る4月に発生した熊本地震に関する電子基準点等基準点成果の公表停止及びその後の成果の公表について、本特設サイトでお知らせしてきたところです。

今後PatchJGDによる座標補正は、各方面で使われることと思います。この座標補正ソフトウエアの使用基準については、弊社が計算した最大剪断歪図を参照されることをご提案しています(本解説7参照)。今、熊本の現場から、PatchJGDにより得られた測量成果の品質管理に関する問い合わせがきております。1日でも早い正確な境界復元の復興を願い、公的マニュアル等に基づくPatchJGDの品質管理について解説します。

1.公共測量成果改定マニュアル平成26年5月国土交通省国土地理院によるPatchJGDの品質管理

国土地理院Website<http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/download/patch/patch_manual.pdf>に示された公共測量成果改定マニュアルにおいて、次のように定められています。

(点検測量(座標)の実施)

第16条 補正を実施した隣接する基準点間の距離を測定し、精度を確認するための点検測量を行うものとする。ただし、計画機関が指示し、又は承認した場合は、点検測量を省略することができる。

第16条 運用基準

  1. 観測は、準則第2編第2章第5節(観測)の規定に準じて実施する。
  2. 座標補正パラメータにより算出された座標から、隣接基準点との水平距離を求め、観測値との比較を行う。
  3. 点検結果は、「公共測量成果改定精度管理表」にとりまとめる。
  4. 点検測量率は5%とする。

上記運用基準に示された観測は、公共測量作業規程の準則において、下記のように定められています。

第5節 観 測

(要 旨)
第34条 本章において「観測」とは、平均図等に基づき、トータルステーション(データコレクタを含む。以下「TS」という。)、セオドライト、測距儀等(以下「TS等」という。)を用いて、関係点間の水平角、鉛直角、距離等を観測する作業(以下「TS等観測」という。)及びGNSS測量機を用いて、GNSS衛星からの電波を受信し、位相データ等を記録する作業(以下「GNSS観測」という。)をいう。

2 観測は、TS等及びGNSS測量機を併用することができる。

3 観測に当たっては、必要に応じ、測標水準測量を行うものとする。

しかし、第16条に定められた距離の較差に関する具体的な較差の基準は定められていません。国土地理院にお尋ねしたところ、以下に示すご回答をいただきました。

2.品質管理に関する国土地理院の回答

2.1 較差の許容範囲

パラメータ補正後に、現地において点検測量を実施した際の許容範囲について定めたものはありません。

地域毎に事情が異なりますので、許容範囲は測量計画機関が定めることになります。
ただし、一定の目安が必要ですので、水平距離5cm、比高10cmを目安として、以下より精度管理表の記載例を公開しています。
http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/jishin/index.html
記載例_公共測量成果改定精度管理表のダウンロード【Excel2007:13.7KB】

2.2 較差が許容範囲を超えた場合の処理

許容範囲を超えた場合、適用するパラメータの再現性が悪い地域の可能性があります。改測や改算、独自パラメータ作成等、他の補正方法を検討いただく事になります。

国土地理院からの上記回答に関し、許容範囲について補足します。参考となる基準には以下のようなものがあります。

参考1:測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル
「測地成果2000導入に伴う公共測量成果座標変換マニュアル第15条」は、TKY2JGDによる座標変換の点検として、次を定めています。

第15条 座標変換とは、座標変換プログラムを用いて、基準点成果データの座標変換を行うことをいう。

<第15条 運用基準>

4.座標変換前・後の距離の点検の許容範囲は、次を標準とする。
点検距離許容範囲 500m以上:1/10,000以内 500m未満:50mm以内

参考2:街区基準点の作業規程の活用
「都市再生街区基本調査作業規程運用基準第19条6項(別表第22表):較差の制限」は、次のようにその制限を定めています(都市再生街区基本調査作業規程で検索)。図1に示すような既知点A,B,Cの3点がある場合、較差の制限は 角度60秒以内 距離20mm以内となります。

図 1 既知点の点検

以上、距離点検の較差の許容範囲は、幾つかありますので、計画機関又は法務局の承認を得ることが必要でしょう。

3.距離の計算

地表上のPQ点の距離Sは、次の手順で、平面直角座標系の距離に計算し、既知点座標から計算した距離と比較します。

  • ① 傾斜補正により水平距離S'にする
  • ② ジオイド高(N)+標高(H)により、高さの補正を行い、楕円体上の距離S0にする
  • ③ 縮尺の補正を行い、平面上の距離SPにする
  • ④ PQ2点の座標からピタゴラスの定理により、平面距離SFを計算する
  • ⑤ SPとSFの距離の差が、2cm以内等の許容範囲であれば、合格とする

図2 距離測定の補正

上記の計算を間違いなく行うのは、かなり大変なことです。そこで、弊社が開発した電子野帳「Pocket Neo」の利用をお勧めします。既知点の座標を入力し、距離測定を行えば、自動的に座標の良否を計算して、画面に表示します(図3右)。

図3 電子野帳「PocketNeo」

4.筆界点間距離の点検

地籍図や地積測量図を作成した場合、最後の品質管理は、筆界点間距離の点検となります。PocketNeo は、その点検を容易にできる機能を持っています(図4 参照)。ご活用ください。

図4 PocketNeoの筆界点間距離点検画面

2016年9月23日

アイサンテクノロジー株式会社
研究開発知財本部