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アイサンテクノロジーからのお知らせ

平成28年熊本地震に伴い被害に遭われました方の無事をお祈り申し上げます。又、被災された方々にお見舞い申し上げると共に早期の復興を願います。復興にあたって、インフラの整備は欠かせない事となりますので、その基礎となる測量成果の復旧の見通しについて、過去の地震の復旧の例等を基に、解説を行いたいと思います。

1.測量成果の停止状況

国土地理院は、2016年4月16日、平成28年(2016年)熊本地震に伴う基準点成果公表停止について、表1及び図1の地域を示しました。

表1及び図1の出典:国土地理院ウェブサイト
http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/SysMsg/2016/kumamoto/kumamoto_stop.html

表1 成果公表停止基準点

停止点数
電子基準点 三角点等 水準点
熊本県 20点 2,565点 296点
大分県 8点 893点 0点
福岡県 2点 339点 0点
長崎県 7点 223点 0点
宮崎県 1点 149点 0点
38点 4,169点 296点

平成28年(2016年)熊本地震に伴う基準点成果について 図1 成果公表停止範囲

図1 成果公表停止範囲

電子基準点の公表見通し

表1では、38点の電子基準点の成果が公表停止になっています。現在の電子基準点は、全ての基準点測量の既知点として使われています。まず、電子基準点の成果公表が行われる必要があり、比較的早い時期の成果公表が行われると思います。例えば、2011年東北地方太平洋沖地震の場合、三角点等の成果公表は、同年10月31日でしたが、電子基準点の成果公表は、その5か月前の同年5月31日でした。

2.地殻変動の状況

この地震に伴う地殻変動が国土地理院により公表されました(図2、図3)。

平成28年(2016年)熊本地震に伴う基準点成果について 図2 水平地殻変動

図2 水平地殻変動
出典:国土地理院ウェブサイト(http://www.gsi.go.jp/common/000139656.pdf

平成28年(2016年)熊本地震に伴う基準点成果について 図3 上下変動

図3 上下変動
出典:国土地理院ウェブサイト(http://www.gsi.go.jp/common/000139655.pdf) 

3.震源域の測量成果改正

図2及び図3に示された地殻変動は、右横ずれ断層によるもので、震源付近は一様な地殻変動ではありません。こうした地域の復旧測量は、2004年(平成16年)の新潟県中越地方の震源と同様に改測によらなければなりません(図4)。

平成28年(2016年)熊本地震に伴う基準点成果について 図4 2004年10月23日新潟県中越地震の三角点の水平変動

図4 2004年10月23日新潟県中越地震の三角点の水平変動
出典:国土地理院ウェブサイト(http://www.gsi.go.jp/common/000026953.pdf

4.一様な地殻変動地域の測量成果改正

これまでの地震による測量成果改正において、一様な地殻変動地域の測量成果改正は、PatchJGD座標補正パラメータにより行われてきました。

平成28年(2016年)熊本地震に伴う基準点成果について 図5 2008年岩手・宮城内陸地震の地殻変動

図5 2008年岩手・宮城内陸地震の地殻変動
出典:国土地理院ウェブサイト(http://www.gsi.go.jp/common/000043452.pdf) 

図5は、2008年岩手・宮城内陸地震の地殻変動です。このときの成果改正は、一様な地殻変動でない震源地域は改測により行われ、震源から離れた比較的一様な地殻変動に対しては「PatchJGD・座標補正パラメータ」が提供されました。

従って、今回の熊本地震においても、断層から離れた一様な地殻変動地域は、国土地理院が提供することが予想される「PatchJGD座標補正パラメータ」を使った改算になると予想できます。公共測量の基準点改正において正確さが要求される場合は、独自パラメータを作成した改算が必要になると思います。

5.地籍調査と境界確定

熊本市の場合は40%、益城町は33%の地籍調査が完了しています。これらの成果は、不動産登記法第14条第1項地図として法務局に備え付けられていると思います。これらの地域が平行移動でない震源地域の場合は、2004年中越地震の場合と同様に、改めて地籍調査を行い、境界の確定が行われると思います。こうしたことも含め、今後の地籍調査の実施に当たっては、国土交通省地籍整備課からの通知があるものと思います。

6.地積測量図作成

1995年兵庫県南部地震において、平成7年3月29日の法務省民事局民事第三課第2589(回答)は、「広範囲にわたって地表面が水平移動した場合には、土地の境界も相対的に移動したものとして扱う。」とされました。国土地理院がPatchJGDを提供した地域は、この回答が適用されるのではないでしょうか。

その場合、法務省民二第2775号 平成23年11月17日の法務省民事局民事第二課長通知に示されたように、基本三角点等の座標補正が管理者によって行われていない場合、土地家屋調査士業務となると思います。

又、国土地理院の成果改正が公表される前の基本三角点等は、法務省民二第696号平成23年3月18日の法務省民事局民事第二課長通知にあるように、「不動産登記規則第77条第2項に該当するものとして,近傍の恒久的地物に基づく測量の成果として取り扱うものとする。」ことになるのではないでしょうか。

その他

新たな情報が入りましたら、お知らせいたします。

2016年4月18日
文責(技術顧問 中根)