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サーベイヤーズ21講座

第8講

2010年7月27日

<<第8講>>公共測量と鉛直線偏差
 
ラプラスの式
 
鉛直線偏差が位置誤差(⊿α)をつくりだすのは,その大きさと高度角(V)です。その関係は,下に示す「ラプラスの式」であらわされています。
 
⊿α=ηtanφ+(ξsinα-ηcosα)tanV
 
ただし,ξ:南北成分,η:東西成分,V:高度角,α:方位角
 
ラプラスは約200年前の学者です。我が国でも戦前の教科書には載っていた式ですが,最近の測量教育ではすっかり無視されているのが現状です。 
 
地球楕円体
 
回転楕円体は、具体的な大きさである半径aおよびbが定められていません。具体的に長半径aおよび短半径b(または扁平率f)が定められた楕円体が、「地球楕円体」と呼ばれています(日本測地学会、現代測地学、1994.8.70頁)。日本測地系で使われた地球楕円体は、1841年にベッセルによって定められた幾何定数を採用しています。
 
鉛直線偏差の計算
 
ジオイド高Nを次式のように2次曲面で近似します。ここに,x,yは公共座標、未知数はu12.6の6個です。6箇所以上の座標既知点においてジオイド高を与え未知数uを決めます。
 
  N=u1+x・u2 +y・u3 + xy・u4 + x2・u5 + y2・u6 
 
ジオイド高Nをx,yでそれぞれ微分し,鉛直線偏差の南北及び東西方向の成分(ξ,η)を次のように得ます。
 
  ξ=∂N/∂x = u2 + y・u4 + 2x・u5
  η=∂N/∂y = u3 + x・u4 + 2y・u6
 
都市部ではビルの屋上でGPS観測が行われることが多く,その点の座標は地上点に取り付けられます。このような取り付け観測では,高度角が大きいので鉛直線偏差の影響をまともに受けます。次の表は,川崎市における公共基準点の地上点への取り付け観測データから位置誤差を見積ったものです。前述の式により計算した鉛直線偏差は,ξ=-8″,η=16″です。ちなみに,天文鉛直線偏差は,それぞれ,ξ=-9″とη=18″になります。
 
表=屋上点から地上点への取り付け観測結果 

  高度角 距離 方位角 座標誤差
点番号 ° ′ ″ ° mm
2031 29 24 33 204.0 330 11.2
2030 17 7 7 294.4 155 8.8
2039 23 25 50 217.5 290 6.7
2039 9 10 32 507.9 110 5.8
127 32 18 16 106.8 10 5.3
2029 19 22 17 114.3 140 3.8
2039 13 45 50 132.3 206 1.9
2040 12 6 42 155.7 30 1.7
2039 5 24 36 665.0 70 0.7

 表によれば,1cmを超える位置誤差を生じます。私の開発した3次元網平均計算プログラムには,サブルーチンとして鉛直線偏差の計算を組み込んであります。