本文へ

 

アイサンテクノロジーからのお知らせ

3月下旬国土交通省国土調査課は、各都道府県地籍担当者あてに「東北地方太平洋沖地震の地域における平成23年度地籍調査の実施について」の事務連絡を行った事から、弊社ユーザー様から技術的質問も増加中です。それに基づく地籍測量の工程の概要及び座標補正パラメータについて述べてみたいと思います。

1.測量成果の公開予定

国土地理院HPのQ&Aは、測量成果公開の予定を次のように示しています。
・電子基準点成果公開:5月下旬
・三角点成果公開  :10月
・水準点成果公開  :11月
従いまして、年末頃から地籍測量、公共測量及び地積測量図等の既知点成果の改算作業が本格的に行われることになるでしょう。

2.地籍測量の対処

前記Q&Aは、成果公表以前の公共測量等の対処方法についても述べています。地籍測量の場合も基本的に公共測量と同じ対処になると思います。作業手順及び既知点の改正について、以下に述べます。

2-1.基本測量(基本三角点及び基本水準点)成果の改定

国土地理院に確認したところ、測量法第4条に規定された基本測量成果は次のように改定され公開されます。
・改測による成果の改定
・改測結果から作成された座標補正パラメータ作成
・座標補正パラメータによる成果の改定

2-2.地震後から成果公表までの期間の地籍測量

基本測量の成果が公表されるまでの測量作業は、次のようになるでしょう。
・C及びD工程における(選点・標識設置・観測)は実施可能。
・既知点座標に関係しない環閉合差及び較差等観測値の点検を行う。
・既知点座標に関する点検は参考値とする。
・基本測量成果及び座標補正パラメータの公表後、既知点座標を更新して再計算を行う。

2-3.地籍測量の既知点成果

地籍調査作業規程準則第38条は、測量の基礎とする点として、次を規定しています。
・測量法第4条基本測量の成果(基本三角点、基本水準点)
・国土調査法19条2項若しくは19条5項又はこれらと同等以上の精度を有する基準点
前者の測量法に規定された基本測量成果は、国土地理院により成果改定が行われ、公表されます。後者の国土調査法に規定された測量の成果は、座標補正パラメータにより自ら計算して地震後の成果に改定します。


p1.png図-1 国土調査作業規程準則第38条(既知点成果)の改定

3.既知点成果の使用上の注意

国土地理院は、最近の地震に伴う基本測量成果の改定に、次の二つの手法を用いてきています。
・改測
・PatchJGD座標補正パラメータによる改算
今回の地震対応も同様と思います。前者の改測された基本測量の成果は信頼度がきわめて高いのですが、後者の座標補正パラメータによる改算の場合、次のような座標誤差も一国民として心配されます。
・一様な地殻変動が前提でパラメータが作成されるので、液状化又は地割れのような局所的で不規則な変動
に対応できない。又、高さの変動には特段の注意が必要である。
・改測に使われた三角点の地震前の座標誤差は、そのままパラメータに伝播する。

p2.png図-2 TKY2JGDによる座標変換誤差の推定

上図は、日本測地系から世界測地系への座標変換ソフトウエアTKY2JGDによる座標変換誤差を推定した一例です。色が濃い地域は、座標変換誤差が無視できないことを示し、その地域での基準点の座標変換には慎重に対処すべきことを視覚的に可能にする弊社商品名「Trans/EDX」による関東南部地方の図です。
弊社は今後、予定される座標補正パラメータによって得られた座標誤差を推定するツールを準備しています。このツールは、「Trans/EDX」に相当するもので、国土地理院がパラメータを公表した後に使えます。

4.各種パラメータの内容の理解

国土地理院は「パラメータ」の用語を次のように使い分けています。

パラメータ名称

大きさ

利用目的

座標変換パラメータ

数100 m

日本測地系から世界測地系への座標変換「TKY2JGD」

地殻変動補正パラメータ

数10 cm

セミ・ダイナミック補正

座標補正パラメータ

数10cm~数m

地震時地殻変動補正(例 PatchJGD)

事務連絡に「地殻変動パラメータ」及び「変換パラメータ」の用語が使われていますが、国土地理院がこれまで使用していた「座標補正パラメータ」が現在のところ最も適切な呼び名でしょう。弊社HP3月21日付け「東北地方太平洋沖地震に伴う今後の測量作業対処ポイントと見通し」でも述べてありますが、地籍調査業務技術者も、パラメータの意味を正確に理解しての対処が求められています。

2011年5月19日
アイサンテクノロジー株式会社
技術顧問 中根勝見